第6話 少年編5

気分転換に音楽でも聞こうと思い、学生時代から大好きなサザンオールスターズをかけて口ずさむが、一向に気分も晴れないし頭もスッキリしない。


気分爽快にドライブする事を半ばあきらめかけてたその時!


山道の茂みから何か茶色いカタマリが飛び出してくる。


隆一はすかさずブレーキを踏む。


もちろんそれは急ブレーキになる。


何とか寸前のところでとまり、目の前の人騒がせな物体をよく見ると、それはかわいらしい小猿だった。


小猿は、ひかずに済んでホッとした顔をしている隆一を尻目に、何事もなかったように赤いお尻をふりながら反対車線の茂みへと愛想無く消えて行った。


お陰様で眠気も覚めた隆一は我に返って後部座席が心配になり、確認すると、そこにも何事もなかったように寝息をたてている親子がいる。


「さっきの猿と一緒かよ!」と隆一はぼやきながら、新緑の山道を流れ作業の機械のように車を走らせ、ようやく鳥取県の市内に入る。


市内に入ると、今までの山道とは違い、交通量も多くなってくる。


この時代はナビなどは無い。

土地勘のない場所で海水浴シーズンの渋滞などにあっては厄介だ。


運良く多少の混雑程度で渋滞にも巻き込まれず、海水浴場の駐車場に到着する。


駐車料金を払い、係員に誘導され車をとめる。

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