Encounter ,Elementary
小学4年生。そして、何度目かの転校。
心が成長し始めるこの時期。
言葉の違いで、小さいながら周りとの距離を感じた。
「おかしい」そんなこと言われたことは無いけれど、やっぱり壁を感じた。
嫌になった僕は、公園に行った。
「パスパース」「こっち!」「そのまま!」
そんな声が聞こえてくる。
声がする方を見ると、男の子に混じって一人女の子が。周りの男の子より頭一つ小さい女の子が一際目立つ。短くて黒い髪の毛が走るたびに揺れ動く。
そんな女の子が一生懸命にボールを追いかける。
誰よりも前に出て、ボールに追いついて、それから――
「シュート!!!」
高く跳んで、ボールを放つ。放たれたボールはそのまま綺麗な放物線を描いてゴールへと吸い込まれていった。
時間が止まったみたいに、目が離せなかった。だって綺麗だったから。
神様がその子にだけ、スポットライトを当ててるみたいにキラキラして輝いて見えたから。
だから、ボールが転がってきたのにも気付かず、その女の子の顔が目の前に来た時にようやく気付いた。
太陽の光でキラキラと髪の毛が光ってる。そして同じくらいに目もキラキラと輝いている。
「だいじょうぶ?」
「えっ!!!!!」
吃驚して後退る。
「あ、ごめんね?その、ボール」
「あっ……」
足元にはバスケットボールが。しゃがんでボールを取ると女の子に差し出す。
「はい、その……」
「あのね、バスケ一緒にやろうよー!」
ニコッと笑う女の子。
「え……でも」
「隣のおうちの今村 彰悟くんだよね?」
「あ、うん。えっと……」
そういえば、この子は……
「結城 桜ちゃん」
「うん、そうだよ!今村くんもバスケやろー、楽しいよ!」
「えっと……その……」
回答に困って口ごもっていると桜ちゃんの後ろから背が高い男の子がやってきた。
「こら、桜。困ってんぞ。」
「わあ、しゅーにぃ」
桜や彰悟よりも大きな手でボールをガシッと取った。
「ごめんな。コイツ、バスケのことになると周り見えなくなって。って、最近引っ越してきた、えっと」
ああ、まただ。こうしてまた一から。
引っ越してすぐだから、覚えてもらってない。何も思ってないと思う、でも感じる。疎外感みたいなものを。
「今村 彰悟くん!しゅーにぃ、すぐ人のこと忘れるんだから」
明るい声が遮った。引っ越してすぐなのに、覚えてくれていることが彰悟はうれしくてうれしくて、だから思った。
あー、仲良くしたいなと。
「悪い悪い、だってさ。そんなに――」
「あの、ぼくもバスケやってもいいですか?」
桜と少し言い争いをしていたしゅーにいさんがガバっと彰悟を見る。
2人とも目がキラキラしていて、目が離せない。
「もちろん!やろうぜ!」
これが、彰悟の桜とバスケの出会いである。
* * *
こうして、彰悟はバスケを始めた。
桜こと結城 桜は隣の家の2個下の女の子で家族もバスケットボール経験者であった。
しゅーにいこと佐藤 修一は小学6年生で地元のバスケットボールチームに所属していた。
彼らの誘いで地元のバスケットボールチームに所属した彰悟少年はメキメキと実力を伸ばしていった。
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