Rendezvous Point ①
今日も何事も無く騒がしく終わったこの街も、煌びやかな景色を描きながら陽が落ちようとしていた。少し前まで色で溢れていた町はモノトーンに塗り潰され、街の灯りを避けるようにビルの上にぽつぽつと人影が伸びる。
「見つけた」
「ここは世界遺産だぞと」
狙撃銃のトリガーに掛けた女の指を男が掴んで止め、反対の手でバレルを掴んで銃口をずらす。
「じゃあどうする」
「コンタクトを図る、んで……」
「今回も無駄。分かってる事をするのはスマートじゃない」
「スマートに仕事が出来るのが許されれば、誰も残業なんてしないぞと」
頭に埋め込んだ通信機に向かってコンタクトを図る可能性があることをオフィスに伝え、2人は屋根から屋根へ飛び移ってターゲットの後を追う。不自然に何度も入り組んだ路地を右折や左折を繰り返しながら遠回りをして、それでも着実に街の出口に向かっている。
「ゴーストライダーから報告、今からターゲットにコンタクトを図る。武器の使用許可を求める」
「──了解。使用を許可します、ターゲットは出来るだけ傷付けないでくださいとの事です」
「分かってるぞとオペレーター、大事なのは印象だろ」
「分かっているのなら余計な私語は控えて……」
「まじか見失った!? 急いで探す!」
尾行が気取られたのか、余程警戒心が強いらしく、今まで通り遠回りをしながら進んでいたターゲットは角を曲がった途端走ったのか、突如として姿を消した。ドゥブロヴニクの街はとにかく建物が密集していて、路地が入り組んでいる場所が多い。もちろん綺麗に1列に並んでいる場所もあるが、そうじゃない場所は屋根の上からの追跡が難しい。
「下から探す」
「待て! あ、くっそ 」
止めるよりも先に屋根から飛び降りた相棒を追って地面に飛び降り、曲がり角に投げ捨てられた狙撃銃の入ったケースをぎりぎりで飛び越える。
「危ねぇ! あいつ絶対わざとだ」
「ゴーストライダー1、何としてもゴーストライダー2に街での発砲はさせないでください」
「それは直接あいつに言った方が良いぞと」
「応答がありません、おそらく追跡のために身に着けているものを最低限にまで捨てたのでしょう」
「公安が世界遺産傷付けたなんて印象が悪くなる──っておい上着! これに本部のIDカード入ってんだぞあいつ!」
道に散乱した外付けの通信機や上着などの必要最低限の物を拾いながら、それを道標として相棒の後を追う。
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