初まりの始まり
第7話 魔王?降臨!!
突如現れた黒髪のイケメン。
黒いロングコートに黒いズボン黒いブーツと、なにやらビジュアル系バンドでもやってそうな服装だ。俺の厨二病心が擽られる。
当人はイケメンなのでそれが様になっている。
イケメンていいよな。なんでも似合って。世の中不公平だ。
しかし、身に纏うオーラは混沌としていて、それは"良くないモノ"であり、それを身に纏っている黒髪のイケメンも"良くない者"であることはすぐに解った。
その黒髪のイケメンは、周りの様子を見たり、手をグーパーグーパーさせたり、自分の身体の状態を確認している。
一体何者なのか…。相手の力量も力も能力も判らない以上は迂闊に手を出せない。何せ調伏も破魔札も効かなかったのだから。
何者なのか問おうとしていたら、黒髪のイケメンの方が話し始めた。
「…クックック…ついに……やっとか…。で、貴様らは何だ?俺の封印を解いてくれたのか?何やら対魔の力のようなモノを受けたような気がするが、敵か僕か、どちらだ?」
「…お前ーー
「お主し次第じゃ。お主がこの世に害を齎そうとするのなら敵じゃ。何もせんのなら、お主が在るべき場所に戻れるよう力を貸そう」
「…ほう」
と、不適に笑うイケメン。その直後、ものっすごい力に押し飛ばされそうになる。これが"覇気"というヤツなのだろう。
「魔王と呼ばれしこの俺に、大層な口をきく」
……は?
……魔王?ウチの
何言ってんだこいつ。魔…
なんだってーーー!?!?!?
魔王ってあの魔王?!ラノベとか漫画とかゲームとかでよく聞くよく見かける、あの魔王!?
ただのイタイ人じゃなくて、ほほほ本物のままま魔王!?
いやでもこの目で出現するの見ちゃったし、禍々しいオーラ身に纏ってんのも事実だし、、、
あれ?ってことは、じゃぁ、やっぱり異世界って存在するの!?あの世から来た冥王とかじゃないよね!?
聞いてみよう!こういう事はきちんと本人に直接聞いて確認しないとね⭐︎
「なあ!何方に存在してたんだ!?あの世?それとも異世界!?」
「…今、口の利き方について話し……なんかお前の顔ムカつくな」
ええーーー?!
対面して秒で顔のクレームを受けたのは産まれて初めての体験だ。
「なんだね君は!?失礼!マジ失礼!」
「いや、何かお前の顔何処かで見たことあるような気がするんだよ。………遠い昔…何処かで……。…何か胸糞悪いから顔をボコボコにしてからぶっ殺そ」
ええーーー!!?
対面して秒で"気がする"だけの言い掛かりで命を狙われたのは産まれて初めての体験だ。
「理不尽!マジ理不尽!!」
「その顔すげぇ殴りたい衝動に駆られる!」
自称魔王は、勢いよく距離を詰め、その勢いとナックルアローの勢いを利用したフェイントを放ち、その勢いのまま後ろ回し蹴りを繰り出す。これがまた早いのなんの…!それも自然な流れで無駄も隙も無くキレイな動作ときたものだ!
しかも
くらってたまるかと頭を後ろに逸らし、紙一重で躱す。
頭を後ろに逸らしたことで若干足下の視界が見辛くなったところに、足払いを仕掛けてくるいやらしい自称魔王だったが、直感でこれも躱す。
しかし重心のバランスが少し崩れ、その隙に顎を狙った右ストレート、肝臓を狙った左中段突きを仕掛けてくる自称魔王。
すかさず腕をクロスし、ガードの体制に入るが、それもフェイクで、本命は腎臓を狙った死角からの三日月蹴り。
「うおぉっ!あっぶね!ホントいやらしい奴だな!!」
「語弊を生む言い方ヤメロ!!」
反射的に後ろに飛んで躱したが、ケツを後ろに引きすぎて頭の重心が前にズレて、前屈みになってしまい、顔面に向かって膝蹴りが飛んできた。
咄嗟に両手で膝を押さえ込んで止めるが、顔面にジャブがくる気配を感じ、さらに後ろに飛び退いて躱した。…両手がジンジンする。
初対面でこんなにも猛烈に猛攻アプローチを受けるのも産まれて初めての体験だ。
「今まで封印されてたのに俺の顔なんて見たことあるわけないじゃん!!俺が何したっていうんだー!!」
自称魔王の迫り来る攻撃を躱しながら寺の敷地で潔白を叫ぶ。
てか、マジなんなの!?ホント、さっきっからなんなのこの自称魔王の身体能力!!ありえなくない?!ありえるの!?
誰か実況・解説お願いします!!
体術全般励んでおいて良かった!!
こんなに心の底から思ったのも産まれて初めての体験だ。
今日はなんか産まれて初めての体験ばかりしてるな!
別にこんな体験一生体験しなくていいんだけど!!
「…クソッ、まだ感覚が…速さもまだ…思ったより身体の形成と馴染みに時間がかかってるな。…しかしこの小僧…魔王覇気を受けて動けるのも気に入らん」
何やら忌々しそうに自称魔王がブツブツ言っている。
確かに今動けているのは俺だけのようだ。
しかし、此方には攻撃をする余裕は無い。躱すので精一杯だ。感覚がどうのと言っている時点でこの実力、感覚が戻ったらどの位強くなるのか想像もつかない。
「善!!」
「善さん!!」
ようやく動けるようになった親父と春徳さんも、自称魔王の猛攻にどう手助けしたらいいか考えあぐねいているようだ。
『魔王を自称するだけあって強いな。悔しいから言わないけど』
躱しながらある程度の距離がとれたので、体勢を立て直し、どうするか考えていると
「…此の場所は"魔氣"が無いのか…」
自称魔王が何やらボソッと呟いた。
….マキ?
もしかして、ラノベや漫画でいう"魔素"の事だろうか。
…え? え! ってことは、"魔氣"?がある世界があるってこと!?
ってことは、やっぱり、異世界から来たってこと!?
聞いてみよう!こういう事はきちんと本人に直接聞いて確認しないとね⭐︎
「まぁ、俺は魔氣を創り出せるから問題無いか」
「なあ!"魔氣"ってのがある世界が存在すーー
「あ''あ''ーーーその顔ムカつくーーー!!!」
ええーーー?!何だって言うんだホントに!(ぷんぷん)
コークスクリューなんて目じゃないほどの威力とキレの凄いパンチの連打を躱しながら抗議する。
「俺の顔の事はほっとけよ!しつこいぞ!!」
「しつ…!? …フッ、いいだろう、俺だってお前の顔なんぞ見たくもない。二度と見れないようにしてやる」
片方の掌を俺の方に向け、不適に笑う自称魔王。
なんだ!?魔法か!?魔法なのか!?なら俺ヤバくない?!
異世界のことにばかり気が向いてたけど、"魔王"ってやっぱり強いんだよな!?
どうしよう!!俺、今 人生最大のピンチかもしんない!!!
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