第4話 ENDmarker.
即席の張りぼて発射台だから、壊れやすかったらしい。どうにもならなかった。地球が割れる。それだけ。次の流れ星は止められない。
「いいですよ、そんな急がなくて」
発射台を急ピッチで修理しているという、依頼主の電話。別にどうでもいい。次の流れ星が最後のひとつで、あと1発撃てれば仕事は終わりだったらしい。それでも、その1発は撃てない。大きめの流れ星を撃ち落とせる規模の設備は、世界のどこにもない。仕事は失敗。どうやら世界は終わるらしい。
そうなって初めて、今回の仕事はやりがいがあったなと、ちょっとだけ思った。自分の命ではない。彼女の命も、かかっていたからか。
自分のことはどうでもいいが、彼女と、彼女を取り巻く周りぐらいは、守りたかったなと思う。今更、間に合わない感傷。
そうなると、最後の瞬間ということになる。最後の流れ星。いつ来るのか。
そうか。終わりか。最後は、どうしようか。
空が紅くなってきている。さすがにこの時間帯に彼女の部屋に行くのは普通にはばかれるので、普通に電話することにした。
いい日々だった。彼女と出会えたから。ちょっと後味はわるいけど。最後の流れ星を落とせなかったから。まあいい。だいたい、そういうものだろう。死線を潜り抜けたにしては、なかなかよくがんばったはず。彼女には、ほめてもらえるかもしれない。
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