第50話 闇

遥かな広大なる地平線

最後の光を放つ夕陽がゆっくりと暮れてゆく

何処までも赤い光が空に地に満ちる夕暮れ時


時折強く風が吹く

顔まで覆った暗色のマントを

吹く風にたなびかせ歩く足音がひとつ


かつりかつりとうつろに響く

草も生えない大地はかたく

そこに足跡を残すこともなく


暗く長い影だけが音もなく

追いかけるように歩いて行く


あてどない旅路の果てへ

求めるものはもうないというのに──


黄昏時

紫紺の混じる闇の色が降りてくる

地平線に微かに赤光を残して

迫り来る宵闇


立ち止まりひとつの影は空を仰ぐと

ひたひたと迫る深淵なる闇にのまれていった

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