第47話 桜吹雪
あなたの好きだった染井吉野は
今年も薄紅の蕾をつけて
優美にその花を開きそして風に散って逝った
花は終わり優しい黄緑が伸びやかに葉を開き
新しい季節へとバトンが渡される
風が強く吹く中私は立ち止まる
今は緑の並木道ひとりきりの私
思い出すのはいつか見た桜吹雪の中のあなた
桜の花びらを手のひらに肩に乗せながら
花が散るのは寂しいねと切なそうな表情で
見上げ呟く声
それは幻想の桜吹雪の中に消えて──
緑が風に揺れる
光が透けて新しい季節は
目の前にあるにもかかわらず
私の心は今も幻の桜吹雪の中
あなたの姿を見つめている
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。