第17話 線香花火
花咲くように火の玉の周りに
繊細な光が生まれては弾ける
ぱちぱちと音を立てて
暗がりの中
白い煙と火薬の匂い
闇に咲き誇る優美な牡丹のように
火の花は音を立てて
そこに乱れ咲く
季節外れの花火
遠い記憶
繊細に火花は弾ける
弾ける火の舞いは現れては消え
消えては現れる
ぱちぱちと音を立てて
音もなく記憶はそこに
現れては闇に消えて
闇の中
火の花は弾ける
赤い火の玉に集う火花は
花の終わりを告げるかのように
ぱちぱちと音を立てながら
消えてゆく
落とさないように
落ちてしまわないように
消さないように
消えてしまわないように
少し冷えた風が
そっと灯る赤い命を
揺り落とそうとするかのように
吹き付ける
悪戯な風のせいか
その命の終わりなのか
ぽとりと地に赤い火の玉は落ちた
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