第15話 白

地には散った花びら

白い花びらがそこに降りしきる


私はその地に座り込み

その手を地に下ろし

白い花びらを掻き集める


同じようで違う

違うようで同じかもしれない

白いはなびら 


形が整ったもの

歪なもの

汚れたもの

破れたもの


様々な花びらがその地には降り積もっている



私の手には白い花びら

たくさんの白い花びら


腕を伸ばして

地の花びらを集め

そっと目を閉じて抱きしめる

最早それが何であったかすらわからず


白い白いはなびら

遠い記憶の残滓

色も抜けて

白くぼやけて


気づくと腕からすり抜けている花びら

それを掻き抱きながら


顔を花びらにすり寄せ

もう遠い過去に想いを馳せ

その元の色も形もわからないものに成り果てた

白い想いの骸を抱いて

私はその目を閉じた

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