第8話 桜

ちらりと花を見せ始める染井吉野

桜並木の下

見上げた先に開いた花


季節の動きを如実に感じる

つぼみの膨らみ


山の樹々の桜なのだろうか

うっすらと山が薄桃色に染まり

しばらくすれば見事に

咲き誇るのであろう


通年のように

別の花ではあるが同じ花が

違う花であり同じ桜が

何事もなければまた来年も

花が咲くのだろう


連綿と桜に花芽が付き

つぼみは開き

開花して散るのだろう


同じ花ではない違う花で

同じように見える違う花が


咲くのだろうか


数多に咲くような桜の花達

一輪一輪は同じ桜であり

同じ花ではない個別の花で


一輪一輪違う花である訳で

違う花であるはずで


咲いた花の一輪を見つめ

過ぎた過去に思いを馳せた

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