第5話
ユズリハは下半身がスースーしているのに、ようやく気付いたようだ。
「きゃ……!? きゃあっ!? すすすっ、すみませんっ!」
彼女は慌ててスカートを抑えた。
ほっぽり出されたトレイが、俺のほうに飛んでくる。
次の瞬間、彼女は高級な花瓶を割ってしまったメイドのように、血相を変えた。
「あっ、ああっ!? すっ、すみませんっ、旦那様っ! わたくしは、大変なことを……きゃあっ!?」
彼女は片付けようとして、床のゴミに滑って躓いてしまう。
倒れ込んできた彼女に、俺は押し倒される形となった。
そして、俺の顔は包みこまれる。
……むにゅうっ……!
とした、感触に……!
この無限ともいえる柔軟性。
体感するのは初めてだったが、俺は確信していた。
世界でいちばん柔らかい物だ、と……!
感触は『むにゅう』だったが、とんでもないボリューム感。
彼女はきっと、着痩せする、タイプ……!?
それは窒息しそうなレベルであり、むしろこれで死ねるなら本望と思えるレベルであった。
しかしそれは、飛び退くようにパッと離れていく。
そのまま逃げていくかと思われたが、むしろブーメランのように戻ってきて。
「すすっ、すみ、すみすみすみ、すみませんっ! お怪我はありませんかっ!?」
今度は俺の顔の間近に、JKのどアップが……!
どのくらい近いかというと、今にも泣きそうな潤んだ瞳に、俺の顔が映るくらい。
彼女は白魚のような指で、ぺたぺたと俺の顔を触っていた。
俺はもう、限界突破寸前。
性に目覚めた小学生のように、暴発まであと僅かであった。
……JKとカップ麺食ってパンツ見て胸を触るだなんて、これなんて新手の風俗?
このあと怖いお兄さんたちが踏み込んできて、漁船に連れて行かれるんだよね?
とでも思わないとやっていられなかった。
騒動の後、後片付けを終えたユズリハは、部屋の隅で申し訳なさそうに、小さく正座をしていた。
茹でダコみたいに、ずっと顔をカッカさせたまま俯いている。
どうやらラキスケの恥ずかしさと失敗の恥ずかしさで、本気で落ち込んでいるようだった。
俺は気の利いた言葉も思いつかないので、『人生ガチャ』に逃げこむ。
『チャレンジ達成! ラキスケで、嫁の胸に顔を埋めた』
『パワーアップガチャチケット 1枚ゲット!』
どうやらカップラーメンの効果で、ラキスケの発生率が上昇し……。
それで今回の、うれしい惨事に至ったというわけだろう。
そしてアプリのほうは、今度は『パワーアップガチャ』というのが増えていた。
ボタンの隅には、今まで獲得した分であろう、『ガチャチケット4枚』という表示が。
よし、さっそく引いてみるとするか。
チケット4枚をぜんぶつぎ込んで引いてみると、
『ノーマル:体力+1』
『ノーマル:敏捷+1』
『レア:知力+2』
『レア:精神+2』
という結果になる。
そのあとの画面では、ゲームとかでよくあるステータスのようなものが表示された。
名前:俺
HP:50 ⇒ 51
MP:13 ⇒ 14
攻撃:50
守備:50 ⇒ 51
魔法:20 ⇒ 22
奇跡:13 ⇒ 14
体力:50 ⇒ 51
筋力:50
敏捷:50 ⇒ 51
器用:50
知力:20 ⇒ 22
信心:5
精神:20 ⇒ 22
魅力:1
運勢:1
技能
ラキスケ(1)
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