第8話 時の森を案内してもらった
・・・・・・
〈レイ君、起きて!もう朝だよ!〉
俺はクロノに揺さぶられて意識を覚ましたが、いつも通りまた目を瞑る。
〈・・・もうそんな時間なのか、もう少し寝かせてくれ〉
〈もう!それ何回目なの!昨日もそういってたよね。・・・ほらっ、早く起きて!〉
〈ん、、、おはようクロノ!〉
流石にもう一度寝るとクロノが怒りそうだったので俺は目を覚ました。
〈おはよう、レイ君!もうご飯できてるよ!〉
そう言って、クロノはどこからか取り出したテーブルに、ご飯を並べだす。
〈いただきます。・・・今日も、クロノのご飯はうまいな!〉
〈そう?ありがとっ!・・・ところでレイ君、今日の予定なんだけど…〉
〈分かってるよ!今日の修行はなしで、バアルさんが俺に時の森を案内してくれるんだろ?〉
確か昨日、クロノがそんな感じのことを言ってた気がする。
まあでも、修行ばかりしてて、時の森については全然知らなかったから、ちょうどいい機会かもしれない。
〈そうそう、だからレイ君には悪いんだけど、ご飯食べ終えたら、すぐにバアルと一緒に行ってくれる?〉
〈別にいいよ!〉
俺はクロノの言葉に少し違和感を覚えたが、気にせずそう返した。
・・・
それから、俺とクロノがご飯を食べ終えて、しばらくすると、バアルさんがやってきた。
〈レイ、遅くなって悪かったな!久しぶり!150年ぶりか?今日は時の森を案内してやるから、楽しみにしてろよ!〉
〈お久しぶりです、バアルさん!今日はよろしくお願いします!〉
〈おうっ!じゃあ、俺につかまれ〉
〈はいっ!〉
バアルさんがしゃがんでくれたので、俺はバアルさんにおんぶされる形で飛び乗った。
〈よしっ、じゃあ行くか!〉
〈はいっ!〉
〈じゃあレイ君、楽しんできてね〉
〈じゃあクロノスタス、行ってくるよ。こっちは任せろ〉
〈レイ君は頼んだよ、バアル。また後で〉
〈おうっ!〉
バアルさんとクロノが一瞬、意味ありげに目を合わせてたけど、特になんもないよね?
・・・・・・
〈あの、バアルさん、今はどこに向かってるんですか?〉
俺はどこに向かっているのか気になり、バアルさんに尋ねた。
〈今は、時の森の湖に向かってるぜ。湖の精霊がいる場所だ。レイも修行してるときに会ったことあるんじゃないか?〉
〈ああー、マリンさんのことですね。確かに一度会いましたよ。優しい方でした。修行中、マリンさんに一度私の湖に来ないかって誘われていたんでとても楽しみです!〉
〈なあ、そのことで聞きたいことがあるんだけど、レイ、お前魔力量増えすぎじゃね?俺らの中で、一番魔法を使えるシャルルでもそんな魔力量ないぞ!?〉
〈えっ、そうなんですか?〉
〈ああ!お前どれだけきつい修行頑張ったんだ?〉
〈毎日、休みなしで250年間、魔力を使い切って倒れて、また起きて、それでまた使い切るっていうのを繰り返してました〉
〈お前、相当頑張ったんだな…〉
なんか、バアルさんが俺を憐れみの目で見てる気がするけど、勘違いだよね?
・・・・・・
〈ほら着いたぞ。〉
〈ここがっ…〉
俺は目の前の景色に目を奪われ、言葉を失った。
それほど、湖が美しかったのだ。
俺は、どのくらい硬直していたか分からないが、声をかけられて初めて、自分がぼーっとしていたことに気づいた。
〈レイ、おいレイ、大丈夫か?〉
〈あっ、バアルさん、大丈夫です。この湖に見とれてただけなので〉
〈そうか、それならよかった。もう少ししたら、次の場所に行くからよく見ておけよ!〉
・・・
〈レイちゃん、久しぶりね〉
俺は突然声をかけられた。この声は確か…
〈マリンさん、こんにちは!お久しぶりです。修行の時以来ですね〉
〈ええそうね。あなたもだいぶ成長したじゃない!体はまだ小さいけど、魔力量は前会った時とは、比べものにならないくらい増えているわね!〉
〈ははは、いろいろあって〉
〈あらそうなのね。・・・ところで、あなたはここを見てどう思った?〉
マリンさんはどことなく不安そうな顔をしている。
〈手入れがしっかりと行き届いてて、綺麗でどこか神秘的な場所だなと思いましたよ〉
俺は、思っていたことを率直に言った。
すると、マリンさんはうれしそうな顔をして言う。
〈あらっ、それは嬉しいわね。ありがとう!〉
〈いえいえ、俺もこんな場所を見せてもらってありがとうございます〉
それから、俺とマリンさんは修行中にあった面白い出来事とか、ここの湖の手入れの仕方など、他愛もない会話をした。
・・・
〈おいっレイ、そろそろ次の場所に行きたいんだけどいいか?〉
〈あっ大丈夫ですよ!・・・じゃあ、マリンさん今日はありがとうございました〉
〈ええ。こちらこそあなたと話せて楽しかったわ!またいつでも来て頂戴ね〉
〈はいっ!またここに来たときはよろしくお願いします。そろそろ行かないと、バアルさんに怒られちゃうので行きますね。さようなら!〉
〈またきてねー〉
そう言って、マリンさんは姿が見えなくなるまで、手を振ってくれていた。
「あれでまだ2歳とか末恐ろしい子ね。ふふっ!」
マリンはレイが去ったあとそうつぶやいた。
・・・・・・
俺は今バアルさんの背中に乗っている。
〈バアルさん、次はどこに向かってるんですか?〉
〈次は花畑だ。花の精霊がいる場所だぜ〉
〈ああっ!ドリヤードさんのところですね〉
〈知ってたのか?〉
〈修行してた時に会いました。ドリヤードさんにも自分の作った花畑を見てほしいって言われてたんで、楽しみです〉
〈そうなのか…〉
あれっ、なんでバアルさんは驚いてるんだろう。
〈ところで、バアルさんの裏ランキングは何位なんですか?〉
〈突然だな!まあいいや。答えてやるよ!俺は24位だ。で、ホイップが21位で、シャルルが26位だ〉
えっ、、、高くない!?もともと強いと思ってたけど、そんな強いの?俺、本当に750年後バアルさんたちに勝てるようになってるのかな?だんだんと不安になってきた。
〈あっ、そうなんですか…〉
〈おうっ!〉
それで、俺とバアルさんの会話は終了した。
・・・
〈着いたぞ、ここが、ドリヤードの花畑だ。〉
バアルさんの声で前を見ると、視界に満開の花畑が映った。
・・・・・・その頃、クロノは・・・・・・
「ホイップ、そこはそんな感じの飾り付けでお願い」
「はい、分かりました」
「シャルル、これ採ってきて!」
「ん、、、分かった」
ホイップやシャルルと協力して、レイの2歳の誕生日の準備をしていた。
「待っててね、レイ君!」
レイは、クロノたちがそんなことをしてるとは微塵も知らず、バアルに時の森を案内してもらっているのであった。
ちなみに、
神谷零のステータス(詳細)
魔力量 2400000
ホイップのステータス(詳細)
魔力量 700000
バアルのステータス(詳細)
魔力量 300000
シャルルのステータス(詳細)
魔力量 1026000
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます