第7話 修行の始まりと終わり

〈レイ君!僕の配下達はどうだった?〉


三冠の騎士の人たちの姿が見えなくなるとすぐクロノは尋ねてきた。


〈みんないい人たちで一緒にいたら心が温かくなったよ!〉

〈そっかー、それはよかったー〉


俺がそう答えるとクロノはどこか安心したような嬉しそうな顔をして息を吐いた。


〈ところでクロノ、バアルさんが言ってた裏のランキングって何?〉


俺はバアルさんとの会話に出てきた単語で気になったものがあったのでそれをクロノに聞いた。

するとクロノは、何か考えるような表情をして口を開いた。


〈あーーそれはね、また後で説明するつもりだったんだけど、聞いちゃったのなら仕方ないし、今から話すよ。昨日この世界には、ギルドがあってそこで大会があるって説明したよね?〉

〈うん。また後で説明するって言ってたやつだよね?〉

〈そうそう。じゃあまずギルドについて説明するね。ギルドっていうのは、依頼を受けて、それを達成したらお金がもらえる場所のことで、ギルドに登録したら、そのギルドで依頼を受けることができるよ!ギルドへの登録は、どの種族でもできるから、だれでもお金を稼ぐことができるね。それに、ギルドはいろんなところに支店があるから、どこでも依頼を受けられるよ〉

〈へー。じゃあ、依頼とかはきついものばかりなの?〉

〈いやっ、そういうわけじゃないよ。簡単なものだったら薬草の採取とかもあるし、難しいのだったら、魔物の討伐とかもあるしね〉

〈じゃあ、本当に誰でもできるんだ!〉

〈そうそう!じゃあ話を戻すね。それで、大会っていうのは一年に一回、ギルドに登録している人の中で、自分の実力に自信がある人達で行われる格闘大会のことだよ。これは、武器を使ってもいいし、魔法を使ってもいいから、実質何でもありだね。しかもそれの順位は、そのままギルドのランキングになるから、全種族の中での自分のランキングが分かるよ。だから、ギルドに登録している人は、大体みんなこの大会に出るね。ちなみに、その大会でここ数年一位をとっているのはリリムっていう人族の子だよ。その子は、【不老】っていうスキルと【超越した才】っていう称号を持っているね。【不老】っていうスキルはその名前の通り、そのスキルが発現してからは年を取らないっていうスキルだよ。っで、もう一つの、【超越した才】っていう称号はすべての分野で才能が全種族のトップクラスと同じぐらいになるっていう能力だね〉

〈なあ、もしかして、クロノが人族を複雑だって言ったのは、この称号を持っている人がいるからか?〉

〈そうだよ!こんなの厄介極まりないし。苦手なことがないってことだからね。じゃあ、ここでレイ君に質問です。この大会では本当に全種族の中での自分の順位が測れるでしょうか?〉


クロノの問いに俺は即答する。


〈測れると思うよ。ギルドにはどの種族でも登録できるし…〉


するとクロノは嬉しそうな顔をして自慢げに俺に話をする。


〈ぶっぶー。答えは測れないだよ。だって、その場所じゃ本気を出せない人もいるからね〉


〈えっ、なんで?〉


俺はクロノの言っていることがいまいちよく分からなくて聞き返した。


〈そりゃあー、本気を出したらそんな場所一瞬で消滅させることのできる人とかいるからだよ。ちなみに、リリムも本気を出してないよ。あの子も、本気を出したらそんな場所一瞬で消せちゃうしね〉

〈えっまじか…じゃあどうやって、全種族の中での順位を測るんだ?〉


俺が思わず聞き返すと、クロノは自身ありげな顔をして俺を見る。


〈よくぞ聞いてくれたね。それを測るために毎年、裏の大会っていうのがあるんだよ〉

〈それは、ギルドの大会を表としてるってことか?〉

〈そうだよ!〉

〈そこでは、本気同士でぶつかっても大丈夫なのか?〉

〈大丈夫だよ。だってそこは、僕たち八人の大精霊が力を合わせて、本気で創った異空間だからね〉


確かにそりゃ、クロノと同じぐらい強い大精霊八人が力を合わせて本気で創ったのなら大丈夫だわ。

俺は自然とその言葉に納得した。


〈で、それの参加条件は何なんだ?〉

〈僕たちの独断と偏見だよ。実力がある人には招待状を送って来てもらうんだよ。人数は1000人までだね〉

〈全員来るのか?〉

〈うん!毎年、基本的に1000人全員集まるよ。だって招待されるだけでも名誉なことだからね〉


確かに、招待状が送られたら全種族の中で1000位には入っているってことだもんな。


〈それって、俺の招待状もあるの?・・・なんて、ぁはは・・・〉

〈もちろんあるよ!僕は1000年後、レイ君がこの裏の大会で優勝すると思っているからね!〉


クロノはドヤ顔でエッヘンってしている。そんなクロノもかわいいなー。

じゃなくて・・・

ええええええええーーーー

冗談で言ったつもりだったのに、まさか本当にあるとは…


〈レイ君と話してたら、もうこんな時間になっちゃった。そろそろ寝ないと明日からまたしんどいよ〉


そう言いながら、クロノは空間から布団を取り出して、地面に敷いてくれている。

確かに、あたりは暗くなってるし、そろそろ寝る時間かも…

俺はクロノが敷いてくれた布団に倒れこんだ。


〈レイ君、今日はお疲れ様!また明日からも頑張ろうね!おやすみ〉


〈おやすみ、クロノ〉


初めての修行で疲れていたのか、俺は自分でも気づかないうちに眠っていた。



 ~~~~~~

そして修行を始めてから249年と364日が経った。

俺はいつも通り修行を終わらせてからクロノと会話をする。


〈今日も魔力量を増やす修行しんどかったなー〉

〈何言ってるの、レイ君の魔力量はもう、時の森の出す魔力より多いじゃん!〉

〈修行の時、クロノが時の森の魔力に加えて、拘束魔法を使ってくるからだろ!〉

〈だって、そうしないと、レイ君の修業にならないじゃん!〉


〈〈ふっ、あはははは!〉〉


俺とクロノはお互い顔を見合わせて笑い合う。


〈また僕たち、この会話してるよ!〉

〈もう何回目だろうな、、、、でもこの会話もこれで最後なのかー〉

〈レイ君〉


クロノは俺の顔を真剣な表情で見つめる。


〈この会話はなくなるかもしれないけど、また新しい修行に関しての会話はできるよ!〉

〈ああ、そうだな!クロノがいれば、会話は作っていけるしな〉

〈そうだよ!!!あっ、あと明日の修行は休みね!〉

〈えっ?なんで?〉

〈秘密ー!明日、レイ君は時の森をバアルに案内してもらって色々見てくるといいよ!〉

〈うっ、うん、分かったよ〉


明日はいよいよ、俺がこの時の森に来てから250年目だ。

明日で魔力量を増やす修行も終わりなのかー…

長いようで短かったなー、、、

でも多分、250年を短いと感じるのはクロノのおかげだろうなと思った。


っと、俺がそんなことを考えている間に、クロノは布団を敷いてくれている。


〈おやすみ、クロノ〉

〈おやすみ、レイ君〉


そして、俺はクロノに日課となりつつある挨拶をしてから布団に入った。


明日の修行は休みだし、あさってからまた頑張るか!


そして、俺はそのまま眠りに落ちた。


〈・・・・・・レイ君、明日は楽しみにしててね!〉

クロノはレイが眠ったのを確認してから、そっとつぶやいた。



ちなみに、現状での零の魔力量は一般の魔法使いと比べるとこんな感じです。


神谷零のステータス(詳細)


魔力量      2400000


一般の魔法使い(詳細)


魔力量      14500


時の森消費魔力量


魔力量      1500000

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る