第3話 出会った精霊
あたり一帯が木に囲まれている森の中で俺は目を覚ました。1歳児になったからか、視点はひどく低く感じる。
俺はセレの説明を思い出す。
『向こうの世界のことを説明しておくと、向こうの世界では自分のレベルを見ることができ・・・・・・』
あれ、俺はどうやって自分のレベルを見ればいいんだろう。
その時、突然頭の中にセレの声が響いた。
〈零さん、心に強く自分のステータスが見たいと願うと、自分のステータスを見れますよ〉
こいつ、相変わらず俺の心の中の考えをのぞいてくるな、と内心呆れつつ、頭の中に響く声の主に質問した。
〈そりゃどーもありがとう。ところで、俺って今1歳なのに、精霊と話せるのかな〉
〈話せますよ。精霊は心で会話できるので、今の零さんでも十分話せますよ〉
〈あと、セレとはいつでも会話できるの?〉
〈いいえ、いま零さんが私と話せるのは、神界での魔力が少し零さんに残っているからなんですよ。ちなみに、零さんには、神界の魔力が1ヶ月に1回与えられるようにしておいたので、1ヶ月に1回なら私と話せますよ!あっ、そろそろ時間なので失礼しますね〉
〈ふーん、なるほどね。セレ、いろいろありがとう〉
それから、セレの声は聞こえなくなった。まあでも、1ヶ月に1回話せるし別にいいかーとその時の俺は思っていた。
しかし、この時はまだ誰も知らない。
零がセレーネと次に会話するのは、いまから4年後の零が5歳になったときだということを・・・。
俺はセレと話し終えた後、まず自分のステータスを確認するために心に強く願う。
すると自分のステータスらしきものが頭の中に浮かび上がってきた。
神谷零のステータス
年齢 1歳
レベル 1
称号 転移者、セレの祝福(魔力量が一定量超えないと発動しない)、
スキル 言語理解(精霊)
魔法 なし
こういうところは意外としっかりしてるんだなーと思い、俺は素直にセレのことを感心した。
このセレの祝福っていうのが、1ヶ月に1回神界の魔力をもらえるスキルのことかな?
うん?この称号、魔力量が一定量超えないと発動しないってことは、使えなくね?
そして俺は、ひそかにセレを恨むのであった・・・
その頃、神界では・・・「クシュン!あれ、いま悪寒が走った気が・・・」
セレは一人得体の知れない寒気を感じていた。
で、たぶんこの限界突破っていう称号がレベル上限無効なのかな。
俺はステータス確認を終え、これからどう過ごせばいいかを考えようとしていた時である。
〈面白い気配がすると思ってきてみたけど、人間か~、人間は言葉が通じないから苦手なんだよね。おーい、そこにいる君!・・・・・・って、通じないか。〉
俺の心の中に直接響く幼い声。これが精霊の声だとしたら、やっぱり、ちゃんと返事したほうがいいのかなー?
〈えーっと、俺のことですか?〉
〈そうそう!君のことだよ!って、ええーーーー!?〉
その言葉を聞くと同時に、目の前に12歳ぐらいのかわいらしい女の子が現れた。
〈ねえ、君、僕の姿が見えるの?〉
〈見えますよ。今、俺の目の前で驚いた顔してこっちを見てますよね〉
俺は目の前で驚いている女の子を見て、【言語理解(精霊)】というスキルについて改めて理解した気がした。
これは、多分、心を通わせた精霊の姿が見えるスキルでもあるんだ!
〈ねえ、君、名前はなんていうの?〉
目の前の女の子は、いまだ驚きつつも俺に尋ねてきた。
〈あっ、俺は神谷零です。〉
俺は突然質問してきた女の子に心の中で返答しつつ、女の子の姿をじっと見つめた。髪はショートで、半そで半ズボンの目のやりどころに困る服装だった。
〈ふーん、零君かー、僕は時空をつかさどる精霊クロノスタスだよ!クロノって呼んでね!ところで、零君はどうして、こんな場所にいるの?〉
クロノが真顔になって聞いてくる。
そりゃ、変な人族がこんな場所にいたら、怪しいよな、、、俺は事の
〈・・・・・・ということがあってさ。〉
〈それは災難だったね。でも、僕、零君が、妹の沙姫ちゃんを助けるために命を投げ出した姿勢は嫌いじゃないよ!〉
〈はは、ありがとう。クロノに話したらなんか楽になったよ〉
〈うーーーん、、、〉
〈クロノ、どうかしたのか?〉
クロノは何かを考えこんでいる。
〈僕、零君のことが気に入ったよ!ねえ、僕と契約しない?〉
〈えっ、いいのか?〉
俺はクロノが、提案してくれた契約についてはよく知らない。けど、言葉のニュアンスからやばいやつだと思った。
〈いいよ!零君のその優しさにも惹かれたんだけど、何より創造神様から与えられる恩恵で【言語理解(精霊)】を選んだ零君に興味がわいたからね!〉
〈それじゃあ、お願い、クロノ〉
〈了解!じゃあ、始めるよ!<我今この時をもって神谷零と契約を結ぶ。我の名はクロノスタス>~~~零君、終わったよー〉
〈特に変わった感じはしないな〉
〈そりゃそうだよ!だって、仮契約だもん。零君はまだ1歳だから、僕と本契約したら、僕の魔力に零君の体の魔力量が耐えられなくなって爆散しちゃうよ!〉
〈じゃあ、ずっと仮契約のままで、変わらないのか?〉
〈いや、零君には、この時の森で、1000年間修行してもらって、僕と本契約できるようにしてもらうよ。〉
〈うん?1000年間修行って、それまで俺生きれるの?〉
〈あのね、零君は何か勘違いしてるけど、この時の森での1000年間は外の世界の4年と同じだよ!だから、この時の森での、零君の肉体は外の世界と同じ時間の流れで成長するんだ!だから、零君には、1000年間の間、【肉体の強化】以外の、【スキル】、【称号】、【魔力量】、【精霊魔法】、を修行して習得してもらうよ!零君には精霊魔法の適正もあるみたいだから、精霊魔法もすぐに覚えられると思うよ!それに、零君にはレベル上限がないから、レベル上げ放題だしね!〉
〈えっ、まじか・・・〉
俺はクロノと一緒に修行をするのが、少し怖くなった。
俺はクロノが言ってた、精霊魔法の適正という言葉に疑問を覚えたが、間髪入れずに心に声が響いて、気にすることをやめた。
〈じゃあ1000年間一緒に頑張ろう!!!〉
こうして、俺はクロノと本契約するために、時の森での1000年間(外の世界での4年間)クロノと一緒に修行することになった。
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