第四章 変化-SHIFT-(3)
俺の名前は名倉創也。ごく普通の高校一年生だ。
今日も電車で高齢者に席を譲って、なんでもない帰り道を幼なじみの明宏と歩く。
「……どうした?創也」
その途中、不意に立ち止まった俺をいぶかしんで明ちゃん(こう呼ぶと怒る)が顔をのぞいてくる。
「いや、なんでもねぇよ」
いつものようにふざけた話をしながらのんびりと自宅へ帰った。
部屋に入って上着を脱いだ。動くとまだ冬服は暑いな、うん。
机の引き出し。大事な物を入れている鍵付きの場所。その鍵を開けて中から金色の輪っかを取り出す。
「もう、何ヶ月たったかな。……シフト」
俺はキィ・リングを握りしめて思い出す。シフトと駆けた夏の日々を。なぜか俺だけが覚えている戦いの日々を。
もしかしたら、このリングのおかげなのかな。もう力は残ってないはずなんだけど。
シフトは、住める星を見つけたかな?それともまだ宇宙をさまよってる?
そんな事を考えながら俺は夜の空を見上げる。当たり前だけどそこにはシフトたちはいなくて、星が輝いているだけ。
最近、俺は前より勇気を出せるようになってきた気がする。
きっとそれは、あの出来事のおかげだと思う。
あの出来事があったから、俺は“
そうだよな、シフト。
第四章 Fin
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