タイムアドベンチャー
亀両秦乃介
衰退する自由
プロローグ
車両の扉を開けると、騒々しい音が一気に入ってきた。さすが東京だぜ!
「ぼさっとしてないで早く進め。」
俺が人生初の東京の味を噛みしているというのにそういうつまらないことを言うのは広島の自衛隊基地で鬼として名が通っている佐々木軍曹だ。
「なんだその不満そうな顔は。」
「はじめ東京に来たものでして。」
「全くこれから任務だというのに肝が据わってるのか、ただただあほなのか。」
「そういわれましても、任務の内容をまだ聞いていません。軍曹。」
この会話を聞くと小言が多いただの爺さんに見えるが、訓練と酒が関わると“酒呑童子”が如く。なんでも、酒の席で上官を投げたらしく軍曹で階級が止まったらしい。
「それについてだが、朗報だ。木越上等兵。防衛大臣が直々に教えてくれるらしい。」
「そんなにも大きな任務なのですか。」
「実を言うとなんだが、私もまだよく知らないんだ。まぁなんだ『物は試し』ともいう。ひとまず中に入ろうか。」
「了。」
そうして俺と軍曹は市ヶ谷駐屯地へと歩みを進めた。
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