20 テテの馬鹿力

暗黒森林からシテイン王国へと帰っていた

コウとボウの2人はシテイン王国の裏路地に

見覚えのある影を発見した。



「……あの子は」


「ん? どうかしたの?

コウの知り合い?」


「知り合いってほどではないが……」



そう言いながらもコウはその影の下へ向かった。



(やっぱり……武器屋の馬鹿力少女だな)



路地裏には武器屋で男達を投げ飛ばした

テテと呼ばれる少女が数人の男と立っていた。



「ボウ、彼女が武器屋から男を投げ飛ばした犯人だ」


「えっ? 彼女が?」


「あぁ、なかなかのパワーの持ち主だ」


「へ~でも今絡まれてない?」


「ぽいな、でも彼女なら大丈夫なんじゃないか?」



コウは先ほどの武器屋での一件を思い出し

ボウへそう告げた。


そして、2人は暫く様子を見ることにした。











「お嬢ちゃん、俺たちと遊ばないか?」


「私、忙しいから遠慮するわ」



男の言葉に耳を貸さず、そのまま路地を

通り抜けようとするテテに、

男は腕を掴み、足止めをする。



「そんなこと言わずにさ、絶対楽しいって」


「そんなことをしてる暇はないの!

今すぐ、その手を離しなさいっ!」


「おっ、怒った顔も可愛いね~」


「……警告はしたわよ」



男達が下卑た笑みを浮かべると、

少女は小さくそう呟き、

男たちは吹き飛んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る