用済み大賢者

2Bテータ

01 買い出し

(やっぱり、輝いてるな……)



少年は目の前を歩く、

制服を着た人々を見てそう思う。



「来年から俺も……なわけないか」



少年は自分に言い聞かせるようにそう呟いた。


その後、少年は商店街で野菜を買い、

商店街を抜け、長い時間を掛けて家へ帰るのだった。


昼ごろに買い物を終えた少年が家へ辿り着いた時には、

陽が完全に沈んでいた。



「……ただいま~」



そう言い、少年は森の中にポツンと建っている

木製の家の扉を開けた。



「コウ、おかえり」


「買ってきたかの?」



コウと呼ばれた少年の挨拶に答えたのは

コウと同い年ぐらいの少年と、

年老いたおじいさんだった。



「あぁ、買ってきたぜ」


「おぉ!! まさにこれは……きゅうりじゃ!」



コウが買ってきたきゅうりを持ち

喜ぶおじさんこと、ルーベルおじさん。


今や元気なおじいさんと言う見た目だが、

数十年前までは大賢者などと呼ばれて

とても有名人……だったらしい。



(まぁ、自称有名人だからな。

信用できるかと言われると……無いな)



そんなことを思っているコウを

優しい目で見つめるのは

同い年のボウという少年である。



「コウ、疲れたでしょ? お風呂に入ったら?」


「そうだな、一緒に入るか?」



冗談めかしにコウがそう告げると、

ボウは過剰に驚いたかと思うと、



「ぼ、僕はいいよ……さっき入ったしね。

ゆっくり入ってきてよ」



そう大きな声で叫んだ。



「? お、おう」



コウはそんなボウの行動を不思議に

思いながらもお風呂へと向かった。

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