第196話 ミシャナ湖

 コルモアに七日くらい滞在し、ハーピーたちを連れてマイノカに向かった。


 マイノカについたら真っ先にギギの元へ。不足したギギ成分を補給した。あぁ、オレはギギなしでは生きられない体になってしまったようだ。


「レオガルド様。そろそろそちらの種族を紹介してください」


「そうよ! わたしらを放っておかないで!」


 ビズたちがわらわらとオレに集まってきた。


 まったく、久しぶりの帰郷なのだから許してくれたっていいじゃなか。そのためにがんばってきたんだからよ。


「ハァー。わかったよ」


 鬱陶しいのでギギ以下巫女たちにハーピーたちを紹介し、次にゼルたちに紹介した。


「ハーピーたちはどこに住まわせるんだ?」


「とりあえず、近くの森に住まわせて、コルモアとの連絡要員とする」


 ハーピーは二十六人。男十二人に女が十四人。子を産める者を連れてきたので、来年には増えるはず。そのための安全な場所を用意して、役目を与えてやろう。


「ハーピーはなにを食べるのだ?」


「基本的になんでも食うが、魚や肉、果物が好きみたいだな。今からミシャナ湖に連れてって魚を食わせてみるよ」


 ゼルム族も魚は食うが、最近、食うものが増えたせいか、魚を食べなくなった。


 人間やゴゴール族もいるから漁はしてるらしいが、どちらも魚より肉を好む。ハーピーが捕ったところで食料が被ることはないだろう。


「それは助かる。最近増えすぎてエマニーが陸に上がってきたんだ」


 エマニー? なんだそれ?


 湖にいくと、三十センチくらいのカエルが湖畔にたくさんいた。


「こんなのいたか?」


 長いこと住んでるが、初めて見た……と思う。小動物とか意識してないからなぁ~。


「はい。夏になると現れます」


 夏に? まったく気がつかんかったぞ? オレの耳には届かない鳴き声なのか?


「美味しそう!」


 オレの頭やら背中にとまっていたハーピーたちが一斉に飛び立つと、カエル──エマニーに飛びかかり、なんの躊躇いもなく噛みついた。


 ……顔は人だから凄い絵面だな……。


「美味いのか?」


 美味そうには食ってるが、カエルって淡白とか言ってた記憶があるぞ。


「うん! 美味しい! ぷりっとしてて最高だよ!」


 そ、そうか。それはなによりだ。


 思う存分エマニーを食べたハーピーたちは樹の枝につかまって眠り出した。まったく、自由なヤツらだよ。


「ギギ。あいつらに服を頼む」


 おっぱい丸出しの下半身ぶらぶらなんだよ、ハーピーって。まずは公序良俗を身につけさせよう。


「はい。ゼルム族も胸を出すかとを恥ずかしいものだと意識づいてきましたから」


 そう言えば、ゼルム族もおっぱい丸出しだったな。男はまだぶらぶらさせてるけど。いや、オレもなんだけどね!


 しばらくハーピーと一緒に過ごし、この地に慣れるよう支えてやろう。


 季節は夏から秋になると、ハーピーたちもこの地での暮らしにもなれ、最初は嫌がっていた服も着るようになった。


 竜の巣にあったサエギリの樹のような巨樹はないので、ツラーハウスみたいなものを造ってやったら女たちがいっきに子を宿した。どんだけだよ!


「皆、お盛んだよね」


「ビズは相手がいないのか?」


 ハーピーの世界でも強い男がたくさんの女を囲う習性があるようで、嫁さんが二人ってのもいた。


「あたしはまだ子供だから産めないの」


 驚いたことにまだ三歳くらいのこと。見た目は十五歳くらいなのに。


「何歳になれば産めるようになるんだ?」


「羽から匂いを出せるようになってからって聞いてる」


 羽から匂い? フェロモンを出すのか、ハーピーって種族は?


「どのくらいで産まれるんだ?」


「んー。わかんない。でも、お腹が大きくなったらすぐだよ」


 鳥っぽいけど哺乳類な感じのハーピー。両手に乗るくらいのサイズで産まれるが、一年でビズくらいになるらしい。成長速度、早っ!


「ギギ。記録しておいてくれ。大体でいいから」


 今は数が少なくて大したことはわからないだろうが、人数が増えればわかってくる。今は産めや増やせやでいけ、だ。


「はい、わかりました」


 最初のが産まれるまではマイノカにいるとしよう。今のところ問題は出てないようだしな。

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