二十三想 紙耐久
「さっきの顔も面白かったよ」
ちょっとイラついてるような表情は、わざと煽ったときのなら面白くなる。
複雑な表情じゃないおかげでストレスが減りそう。
「さすがに殴るぞおマえ」
あ、やべえ。
怒りが五割くらいある。
結構マジだ。
「いや~、ロダーもそろそろ恋人作らないのかな~。って」
「だからファノワを好きじゃないって言ってるダろ」
あれ~。
「ファノワちゃんなんて一言mギャン!!」
ボゴッ、ドカッ、ゴロゴロゴロ、ちーん。
ちょっとボゴッのところセンスあるよね?
もっと面白い感じの擬音あるかな。
あー、でも勢いが足りてないか。
肋骨に直撃しちゃった。
煽るのに夢中でよけれないとかいう人間の恥さらし。
「なんか黙ってルが。余裕あるのわかってるかラな」
肋骨直撃ルートですけど!?
私死んでも死なないからいいけどさぁー。
「ホら、早く起キろ」
「あっ、ハイ。でもしかたナ”フ”ッ、グホッ。ゴホゴホ」
あ、吐血した。
「…スマン。余裕なかったみたいダな」
「エホッ、ン”ッン”ン。ア“ー、あー、よし復活」
ちょおっと内臓が傷ついて肋骨が折れたぐらいだね。
痛いけど、痛いだけ。
あなたの吐血はどこから。
私は
どっかで似たようなの見たな、うん。
「大丈ブか?そこまで弱いとは思ってなかっタぞ」
自分もワンパンで吐血するとは思ってなかったよ。
「私も驚いた。こんな弱かったっけ?」
「パパとかファノワに殴られたら即死するんじゃないノか?」
「今の私はコリレのパンチでも死ねる」
絶対ひん死状態でしょ。
最近はコリレも力強くなってるし。
「なんでそんなに弱くなってるンだ」
「なんでだろ、うーん」
そういえば手首に結構くっきり、痕付いてたよね。
あざみたいになってたけど流石に治って…。
「「あ…」」
やばい、見られた。
やっぱり右手首に痕が残っていた。
一日ぐらい経ってるのに治ってなかったみたい。
ホラー映画でこういうの無かったっけ。
あれは痕が黒かった気がするけど。
「…コリレが付けたんだヨな、きッと」
「そうだけど…。思ったより残ってたね」
あの時からほとんど痕が薄まってない。
これはもう痕というより傷だね。
「お前たちが仲いいのは知ってるけドな、体に影響があるくらいそういう事するのはやめとケよ」
「それは無理」
「危ないダろ。今みたいな遊びで死ヌぞ?」
死ぬのは全然平気だし、マーキングされて嫌なことはないし。
コリレに求められたら時間の許す限り応えるよ?
「目の前で人が死ぬくらい我慢してよ」
「どうして死ぬ前提なンだ」
死ねばすぐに傷は治るからね、痛い以外嫌がる理由が無くって。
「友達が死ぬのは辛いんダぞ。生き返ることがわかっていても怖いもンだ」
そーなんだ。
すぐに生き返るんだから気にしなくてもいいと思うけど。
「お前だッて…、イや…、なんでもナい」
「どうしたの?」
「これを言えば絶対わかってくれるとおモう、が、お前はきっと暴れ始めるだろうかラな。やめておイた」
何言おうとしたんだろ。
「ふーん?」
「死に過ぎないようにはしてくレよ」
不自然にたくさん死ぬと、コリレが心配しちゃうからね。
「自殺はしないようにするよ」
「いマは…、それでいイか。じゃあ一つ聞きたいことがあるンだ」
どうしたんだろ。
「なに?」
「お前って自分回復するスキル持ってたヨな。」
「うん、あるね」
あるにはあるんだけどね。
「だっタら、もう治ってるはずじゃないノか?」
[自己治癒]ってスキルの話だね。
まだスキルの話、みじんもしてないんだけど。
長くなるのわかってるし。
「無理無理、あのスキル傷にはほとんど意味ないから」
「そうなのか?」
「うん」
普通の切り傷とか骨折とかは[自己治癒]があっても大して意味ないから。
治りが早くはなるんだけど、急激に傷がふさがるなんてことはないし。
そういうスキルもあるにはあるって神様が言ってた。
「傷じゃなくて、切断だったら効果あるけど。普通の怪我はスキルとかじゃない治癒力の方が強いね」
[自己治癒]はずっと発動してるから意味がないってことじゃないし。
もし指とかが落ちてもこの世界換算で15日ぐらいが経てば生えてくるから、弱いわけでもない。
旗落に住んでる人間だって腕とかが切り落とされても、時間が経てば生えてくるような化け物なわけではない…はず、自信は結構無い。
だから[自己治癒]はそんなに弱くはないと思ってはいるけど。
私の場合はリスポーンって手段があるから、死ねばいつでも全快できる。
そのせいで恩恵をほとんど感じれてなかったり。
「じゃあそれが治ってないのもなっとクだ」
「やっぱり死んだ方が早いし楽なんだよね」
…うわ、やべ。
声に出しちゃった。
「どうせそう言うのはわかってたカら、そんなめんどくさそうな顔すルな」
「あ、出てた?」
またお説教が始まるかと思った。
…私年下に、命について説教されてたのか。
「流石にわたしでもわかっタぞ」
そんなに表情多いかな私。
リアクションは多い方だと思うけど。
「コリレの真似…は意味ないか」
コリレ別に表情を変えないわけじゃない、むしろ豊かな方。
変わらないのは口調と抑揚だった。
「ん?そうなノか?わたしと話すとき口以外動いてなかったぞ」
「それは緊張してるだけだよ。コリレ私以外としゃべるとき体ガチガチになるから」
「アあ…、そうだっタな」
そういうときはだいたい私から離れないね。
初対面の人だったときは私を間に挟まないと会話できなくなるくらい。
怖がるタイプの人見知り。
「コリレ~」
あの長い髪のにおいをかぎたい。
「…飽きてきたみたいだから解散すルか」
「うん、ちょっとコリレに会いたくなってきたよ」
帰ったら堕落するんだ~。
「わたしもファノワがどうしてるか気にナる、食事を食べたか心ぱイだ」
「わかった、バイバイ」
「アあ、まタな」
あっ、はや。
木を渡って行くんだ。
落ちたら痛そう。
「バイバーイ”ブッ!」
そういえば内臓傷ついてたんだっけ。
「気を付けロよ!」
律儀に止まってから言ってた。
優しいな、殴ったのロダーだけど。
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