十八想 森の話ほとんどしてない

「ねぇジルママ、角って殻面を外したら、一緒に外れるの?」


 どう見ても殻面から生えているようにしか見えないのに。


 自分が産まれた場所から一歩も外に出られない子とか。

 普段から文字通り浮足立ってて寝ていても浮いてる人とか。

 いろいろとおかしい人がたくさんいるからあり得ると思ってしまう。


 産まれた時から顔の半分が仮面みたいなものに覆われてる時点でおかしいけどさ!


「いや、外れない、切り落とせはするがが生きているうちに抜くことは出来ないだろう」


「どういうこと?」


 角はどうやって生えてるの?


「お前は仕組みが聞きたいのか?」


「うん…」


 頭が混乱してきた。


「いいだろう、先ずは殻面だ、殻面は雅の皮から出来ている」


 え、顔の皮がそんなつるつるの仮面になるの?!


「顔の皮にある細胞が殻面の位置にだけ積み重なっていき、表面の細胞が死滅することにより黒く光沢を帯びるようになるのだろう」


「へーぇ?」


「雅にも分かっていない、あくまでこの殻面は雅の皮膚から出来ていること、そのくらいが限界だ」


 自分のことだから調べるのは難しいよね。


「疑問が尽きることは無いが、殻面の質感や硬質、重量などが虫の甲殻に似ていること」


 殻面って名前自体がそこから付けたんだよね。


「殻面の周囲にある筋肉が何故普通に動くのか、そもそも殻面に覆われている部分が半分である理由は…など、理解ができない、現に違和感無く話せているから余計に」


 自分のことだから違和感なんてわからなそうだけどね。

 こっちも聞いてる限りはまったく感じないし。

 でも殻面のことはなんとなくわかった。


「じゃあ角はどうなってるの?」


「飽きたのか…」


 そんなことないよ、うん。


「これは簡単だ、骨から生えているだけだからな」


「鹿みたいな?」


「いや、牛という生物の方が近いだろう、生え変わる事は今まで無い」


「伸び続けるってこと?」


「ああ」


 だからそんなに長いんだ。

 うつぶせになれないし、帽子もそのままかぶれないよね。


「伸びすぎたらどうするの?」


「…切るしかないな…」


 なんか歯切れ悪い。


「どうしたの」


「…実のところ角は一度たりとも切っていなくてな、ただただ怖いのだ」


 ちょっと口調崩れてきてるし。

 もうこの話は止めておこう。


「えっと、角は殻面より深くから生えていて、殻面は角の周りが外れるってこと?」


「あ。ああ、そうだ」


「わかった、ありがとう」


「いや、気にするな、少し雅も取り乱してしまった」


 ほんとに少しだったけど。

 私か神様しか気づかないよ。


「聞きたいことも聞けたし、そろそろ行くね」


「またな」


「うん、バイバイ」


 ワープ!




 さあ、帰ってきましたロウレスト。

 実は家から数歩しか進んでおりません!

 あ、神様殴るの忘れてた、どうでもいっか。


 これからの予定は~、森衛所行って…。


 そこからなにも考えてない。

 …森衛所行ってからでいっか。

 別に急ぐ予定もないし。


 歩きながら種族の話でもしよう、

妄想に対しても説明はいるよ。

 ついでに覚えてるかの復習もしたいし。



 えーと、一番大きく分けたら人間と否人いなびとでわかれてる。

 否人って言っても人じゃないって意味じゃなくて、

人間にしては強すぎるって意味でノットヒューマン。

 この辺りは先に人間の大きな枠組みを説明した方がわかりやすい。


 人間は大きく四つに分かれていて、それを系譜って呼んでる。


 精霊系、導魔系、獣人系、異常系の四つがあって、

精霊系と導魔系、獣人系はその系譜の零世代…あ、世代の話もしないとか。


 あとでもう少し詳しく話すけどジルママたちが零世代で私は第二世代。

 っていえば多分わかるよね。


 話を後ろ歩きさせて、精霊系はヒミア様、導魔系がジルママで、

獣人系がウェン母様が。

 その系譜に入ってる第一世代の母親。


 んで!

 異常系は否人くらい能力とかが強いのに親が両方人間だったり、

 いろいろとややこしいことになってたり、否人と人間の子どもだったり。


 ややこしいっていうのは私の母親の生まれを思い出して欲しい。

 私とコリレの生まれ方なんてどう考えたてもおかしいんだし。


 異常系はこんな感じの種族が入ってる。

 まだ例はあるけど長くなるからスルー。



 次に否人の説明を。


 否人は外見でわかる人間との差はほぼない。

 特に異常系とはほぼ見分けが付かないと思う。


 どの否人の種族も人型になれるからほんとにわからない。

 ドラゴンもいるからね、でかいやつ。

 そんなのも絶対に人型にはなれる。


 私の母親みたいにずーっと木になったままってことにはならない、

だから母親も異常系に含まれていたりするんだけどね。


 師匠は否人だけど、見た目が普通の人間の男性にしか見えない。

 逆に人間らしい見た目だから異常系か否人しか選択肢がほとんど無くなってたり。


 神様が前の世界にいる人間らしい見た目をしてても、

零世代の女性陣がアレだからだいたいの人間と否人は人間離れした見た目をしてて。


 例えば髪が派手だったり比喩なしで人間離れしていたりだから、

コリレみたいに髪色が完全に一色かつ。

 角とかしっぽとかはねだとかが生えてないことの方が少ない、というか珍しい


 とはいってもこの珍しいは好きな色のアンケートで特定の一色と、

それ以外みたいな話なんだけど。


 いつの間にか地球人と近い見た目の話になってた。

 でも否人について話すことはほとんどないけどね。


 あとは生まれた時に神様たちが人間か否人かを決めてるってことだけだし。


 そんな風に分けてる理由も知らない。

 覚えてたら聞こうかな。



 あ、あと同じようなところもあって、

種族名の書き方が漢字にカタカナの…。

 あれだよ、ラノベでよくあるやつ。


 えーと、例えばキラーラビットって書いてあるのに小さくして。

 殺人兎とも書いて殺人兎キラーラビットってやるみたいな。


 ほんとそんな感じなの。

 前、神様に種族名を忘れないように書いてもらったら、

私の種族名、迷宮守ディリントだったからね!?


 突っ込みどころが多すぎて何も言えなかったから!

 しかも自分の種族名ディリントって言うのその時はじめて知ったから!

 今まで私忘れてたぐらいだから!


 むしろずっと忘れていたかったくらいだし。

 うん、ほかの突っ込みは帰ってから神様にしよう。

 多分胸抑えて苦しむと思う。


 気持ちはわからなくもないけど。

 今でも同じような種族名の付け方してるのは許されない。



 まだ森衛所にはつかないから別の話もしよう。

 さっき端折はしょった世代の話でも。


 第一世代が神様たちの子供で、世代の区別には人間と否人の違いはない。

 それは第一世代に能力の差がほとんどないから。


 体格とか好き嫌いとか得意不得意くらいの差で。

 喧嘩してもだれが勝つかっていうのに人間や否人、系譜では考えられない、

種族だとあるけれど。


 喧嘩で殺し合いみたいなのにはあんまりならないらしい。

 第一世代は全員すごく強いけど、忙しない性格はほとんどしてない。

 だいたいは簡単に会えないような場所にいるけど。


 本人が創った豪邸の地下深くとか影の中とか空とか。

 物理的にいけないようなところにいる場合だってあるし。


 師匠とその奥さんには割と簡単に会えるのに…。

 そういえばロウレストに入ることがまず難しいんだった。

 内側にいるとすぐ忘れるなぁ。

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