十二想 説教でも説明でもなく説得の可能性が出てきた
「マスターは私が逃げる心配など無いでしょう、ですがマスターが私から離れることはありえました」
説教され中。
今は私とコリレの違いを説明してるとこ。
あれ?これは説明では?
「昔は私も恋愛感情を持っていませんでしたが、それでも守られている事は理解できました」
その時はそこまで意識してなかったけど、
身近にいるかわいい子が死なないようにはしてた。
ただちょっとだけ不幸せな現状から逃がしてあげようとは思ってたけど。
「ですから恩は返そうと思い立ちましたが、出来ることはありませんでしたね」
「外にも出られなかったもんね」
「はい、その上マスターと話し、眠り、ただ隣にいる、それだけで満たされていました」
その頃から、というか最初からベッドは一人用が一台しか無かった。
私はベッドに寝たいけど女の子を床に寝させるのも嫌だから、
よくある”狭いベッドに二人で密着して寝る”って状況が出来上がってた。
実年齢15歳女と外見年齢13歳の生まれたて少女が同じベッドに寝てる光景は、
ただ姉妹が仲良く寝てるだけにしか見えなかったと思う。
実際その頃は事案になりそうなことは考えてなかったし、
身長差は20ぐらいあるけども。
「満たされた私にとって最も重要な事柄は心の中で積み重なった恩をどう返そうか、そう考えるようになりました、いちいち積み重なった恩と言うのも面倒なので恩念と呼びましょう」
勝手に言葉を作るんじゃない。
それに怨念と真逆の意味になってるから。
「そうした恩念が強くなり、心の中で膨張しても抑え込んでいました、その頃は行為を知りませんでしたから」
今となってはねえ。
それにねて恩返しになるわけでもないとは思う。
でも一人にしてごめんって意味でする時はある。
「膨れ上がった恩念は、少しづつストレスとなりさらに積み上がり、当てのない不満が溜まり、満たされていたはずの心は酷く苦しくなりました」
まだ生まれて一年も経ってない頃の話のはず。
全部説明すると長くなるから、
そんなに話したくないけどコリレが話す範囲くらいは話そうか。
この頃は私が森から出て行動する範囲を広げようとしてた時だね。
こういう話は二回くらいしてる、私の方も同じようにこういう話はしているけど、
落ち着いて話せるときが少ないからそんなに昔のことは話せてない。
前のことは話したことはあるけどそれくらいだし、
コリレ目目でこの頃の話は聞いたことなかったかも。
あと。
「その頃は料理も知らなかったもんね」
食事なんて無くてもなぜか平気だったし,
まず周辺の安全を確認するので精一杯だったから。
私も気にしてなかった。
「はい、そんな時に突然マスターが帰られました、いえ現れましたね」
「あーあれね、私もびっくりした」
えーと、師匠に首切られたんだよね。
あ、師匠の話もまた今度する、すると思う。
で、視界が急に高く上がって…。
気づいたらコリレが隣にいた。
死んだはずなのに生きているって異常。
当然その日は寝込んだ。
その後、コリレに私いつ帰ってきたのって聞いたら、
”さぁ…”ってリアクションだったから。
私が家に戻って来てるし服も着たまんまだったけど。
別に時間が戻ったわけでもないってわかった、当然夢でもないってことも。
じゃあリスポーンしたのでは?
って結論になった。
いろんなところに引っ掛けた傷も治ってたし。
今もリスポーンは出来るてるからありがたい。
うん…。
「暫く家で過ごされたかと思えば、唐突に出ていかれて…」
その時は師匠とかじゃなくてエネミーとして認識してたから、
そんなのが周辺にいるのは危険だってことで外に出てたね。
”お前ヲ見定める”とか言いながら首狙ってくる大男とか完全に敵じゃん?
殺しに行くでしょ、身の安全のために。
「少ししたら帰られました、それも出ていかれる直前の張り詰めた様子とは裏腹に、かなり気楽な様子で食事を持ってこられました」
不意打ち気味に攻撃しに行ったら、
驚いた様子はあったけどさらっと返り討ちにされて。
ほのぼのとしたなんだかんだがあって帰りました。
具体的に言うと、返り討ちにされた後森にある村っぽい場所に連れていかれて。
ご飯食べてご飯の残りを持って、帰った。
ちなみに村のような場所は森衛所って場所で、
私たちが住んでる森は、はぐれの森とかロウレストって呼んでる。
元々は神様が捨てられた森って名前を付けてたんだけど。
語呂悪いし、塩っぽいから私が
はぐれの森だってダサいとか言わないで、ロウレストの方が本命だから。
そういえばご飯を持って帰った時の、コリレの目つき悪かったような…。
「おそらく、その時初めて独占欲を抱いたのです」
キュッ!?
そんな昔からだったの?!
別にどっちも好きじゃなかった時だけどそう思ってたんだ…。
ずっと想われてたんだ…。
・・・。
「ちょっとトイレ行ってきていい?」
「い…良いでしょう」
「ありがと」
…何か言いたげな表情で見てた気がするけど気にしない。
さっきまですごいことしてたのにあんなこと言われたら堪えられるわけない。
私外ではかなり抑えてるから、家の中だと安心というかネジが緩むというか。
ちょっとしたきっかけで我慢できなくなるんだよね。
「くーー」
ここのトイレは水洗式でビデもおしりもついてる。
すごいね。
トイレットペーペーはそれ用の木の葉っぱをバラバラにして紙にすると、
手触りが柔らかい紙ができて、それをぐるぐるにしてトイレットペーパーができる。
これも、すごいね。
…戻ろ。
「ただいま」
「戻りましたね、では続きを話しましょう」
「うん」
嫌な予感しかしないけどオッケー。
「私が独占欲を抱いた理由としましては、マスターが私以外の誰かに感情を高ぶらせ、または感情を落ち着かせている、それを実感し、孤独感に近い感情を得たために、この心情となったのです」
さみしかったってことかな。
私が外に出ると必ず一人になっちゃうのに、
私がご飯でうれしそうにしてたから。
「先ほどは私の事を考えて、済ましたようなので許しますが、私以外を考えていましたら、一度、私の事考えながら死んでいただくことになります」
「はぁい」
これコリレのことを考えながら死なないと永遠に死に続けるやつだ。
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