プロローグ

プロローグ

歴史ある魔法大国アンサンセ王国の王城にて断罪劇は行われていた。


「ガブリエル・ド・オリヴィエ!貴様との婚約を破棄させてもらう!」


断罪劇の中心にいるのは王太子シリル、その側近達。彼らに守られるように立っているのはとある子爵令嬢。

そして彼らと対峙しているのは罪人とされる公爵令嬢ガブリエルだった。


「貴様は尊き公爵令嬢でありながら子爵令嬢である彼女を苛めた!最低最悪の悪女である貴様はこの歴史あるアンサンセ王国の人間として相応しくない!」


シリルの声に周囲にいた貴族達は同調し、ガブリエルを罵っていく。


早く国から出て行け。

二度と顔を見せるな。

アンサンセ王国の恥さらし。


他にも多くの言葉が飛び交う。発言をしている人の中には彼女の家族や友人達も混じっていた。

誰もガブリエルを味方する者はいない。


「貴様など生まれて来なければ良かった!貴様と婚約者だった時間があったなど人生の汚点だ!」


何も言わないガブリエルに対して声を大きくするシリル。

再び罵詈雑言の嵐が会場を埋め尽くした。


「静まれ!」


後ろに控えていたアンサンセ王国の国王が大きな声を出し立ち上がり宣言する。


「ガブリエル・ド・オリヴィエ!貴様を国外追放の刑と処す!」


国王の言葉にガブリエルを除く全員が満足気な顔をする。

その中で一人だけガブリエルは無表情、無言を貫く。


本当に馬鹿な人たちね。


彼女が呆れ返っていたなど誰一人として知らないのだ。


「分かりました。今すぐ出て行きます」


優雅に完璧なカーテシーをしたガブリエルは最後に満面の笑顔を見せた。

その瞬間、会場にいた皆が息を呑む。

翻って出て行った彼女の背中が見えなくなった頃、会場は歓喜の声に包まれた。


ガブリエルがアンサンセ王国を立ち去ってから数日後、彼らは激しく後悔するのだった。




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