期(とき)の色はいつも優しい、物語
はるさき
序章 青い春が変わる時
「いつもと変わらぬ青い空。白い雲。澄みきった空気。周りの声。…なんて素敵な日常なんだ。」って変わらずな日常に満足しながら、俺『重井 新(しげい あらた)』は登校していた。
「新(あらた)君。おはよう。今日はちょっと早いね。」
そう声を掛けて来たのは、近所に住む同じ高校の同じクラスメートの『満添 未歩(みちぞえ みほ)』。
俗に言う、幼なじみってやつで…。
「おう、おはよう。何かいつもより早めに起きたから、たまには遅刻ギリギリじゃない時間も良いかなと思って。」
「良い心掛けだね。習慣付く事願うわ。…じゃあ、用事あるから先行くね。」
「又、教室で。」
未歩が小走りで先に行くのを見送りつつ、自分も学校の道を進んだ。
『ガラッ。』
「おはよー。」
未歩より遅れて教室に着いた俺は、扉を開けると同時に教室の中に誰かいるだろと挨拶をした。
……。
誰もいない…。
いくらいつもより早めに来たとしても、早くから来てる奴らもいるはずなんだが…。
静まり帰った教室に、ご飯を待つ子供の様にそわそわしだした俺は思わず外や廊下を見た。
外や隣の教室から声するし、人もいるのに…。
なぜ、俺の教室には誰も来ない。
何か、皆に嫌がらせでもしたか?
早く誰か来てくれよ!
何か悪い事してたなら、謝るからよ。
俺の頭は悪い事を考えまくって、嫌になりすぎて机に突っ伏して寝るように目を背けた。
…。
……。
………。
どれくらい経ったのだろう…。
今日は誰も来ないのだろうと、不貞腐れていた時だった。
『ガラッ。』
突然と扉が開いた。
その音に嬉しくなった俺は、顔を上げた。
「待って…。」
そのまま扉を開けた人に声をかけようとしたが、思わず声が詰まった。
現れたのは、クラスメートの『天野 朱利(あまの しゅり)』だったのだか…。
そこには制服ではなく、漫画やゲームなどでしか見たことがない勇者みたいな格好で現れて…。
「はあ、はあ…。ようやく帰ってこれた。おっ、新~。知った顔がいると安心するよ。」
朱利は、口を開けたままの俺に話しかけ続けた。
「今の日付っていつ?」
「2月3日だけと…。」
「まじか!俺が学校来た日と変わんないじゃん。何年も経った気がしたのに。」
朱利の発言に理解できず、返す言葉が見つからなかった。
「ごめん、ごめん。訳が分かんないよな。俺もよく分かんないけど、話を聞いてくれたらなと…。」
朱利はそう言うと、自分に起こった事を話し出した。
教室に入ろうと扉を開けたら、知らない世界だったと…。
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