アニメオタクと幼馴染

エニシア

第1話

「今週も神だったなぁ」


しまった、あまりの良さに声が漏れてしまった。

学校が終わってすぐに帰宅し自室でベッドに背中を預け、アニメを見始め約25分

そんなことを呟く俺は木野雪人、ぴちぴちの高校一年生だ。


「そのアニメ本当に好きだよねぇ」


「俺の嫁が活躍しているんだ。当たり前だろ。」


「嫁ねぇ、、」


ベッドに当然のように寝そべりながら話しかけてきたこいつは朝宮桜、

所謂幼馴染というやつだ。

こいつは小学校中学校高校と全く同じ進路を歩んできているためか、

腐れ縁のように関係が続いている。


「その嫁さんはどの子がそうなの?」


「よくぞ聞いてくれた、この黒髪でポニーテールの子が俺の嫁だ。

可愛らしい性格に素晴らしい声、ポニテだからこそ見えるうなじ、可愛い素晴らしい神様か何かか?」


しまった、今めっちゃ早口になっていた気がする。

好きなことの話するとき早口になっちゃうんだよなぁ。


「雪人はポニテ好きなの?」


「あぁ、良いよなポニテ。この子の明るい性格が際立っている気がする。」


「というか前は別の子のこと嫁だって言ってなかった?いつからこの国には一夫多妻制度が実施されたん?」


「安心しろ、アニメだからな。リアルには嫁どころか彼女もいないからな」


「まぁそうだろうね~。彼女なんていられたら困るよ。」


まるでバカにしたような言い方で言いやがって、どうせアニオタな俺には彼女なんてできませ~んだ。


「何で困るんだよって、あぁ、俺の部屋に居座れなくなるもんな。全く、毎日人の部屋に居座りやがって。」


「そんなこと言って、こんなかわいい女の子と一緒に居れて嬉しいでしょ?」


「自分で言うのかそれ、、、」


だが実際こいつの言うことは間違っていない、学校では優れた顔立ちから一位二位を争うほどモテるのだ。しかも優れたのは顔だけではなく、引き締まった体型に成績は優秀で学年トップ、助っ人に駆り出された陸上競技では賞をもらうほど運動もできて、誰にでも気さくに話しかけて仲良くなるし、優しい性格もあって友人も多い。完璧少女なのだ。


「っと、そろそろ帰るね。お夕飯の支度しないといけないから。」


忘れてた、メシマズ属性なんてものはなく料理もめちゃくちゃ美味くつくるのだ。可愛い子は欠点すら可愛く見えるというが欠点がここまでないと可愛げがないかもしれない。


「んじゃ、また明日学校でって、どうせ朝も来るんだろ、、、」


「だって来ないと雪人一人で学校行っちゃうじゃん。」


「まぁいいや、また明日な~。ほらいけ。」


「はぁい。」


桜はそう言って部屋を出ていった。

さて、俺も今日の夕飯の準備でもしますかね。


料理だけではなく家事全般は俺が担当している。一人暮らしだからとかではなく、家事を担当する代わりにお小遣いを金欠で困らないほどにはもらっている。

両親は共働きなので俺が家事するのが一番良いだろうとは思うので、ついでにお小遣いまでもらえるなんて、なんて良い親なんだ。


「「ただいまぁ」」


そんなことを考えながら料理していたら両親が一緒になって帰ってきた。しかも手を繋ぎながら、、、


「良い匂いね、さすが雪人」


「雪人、毎日ありがとな。」


「おかえり、もう少しかかりそうだから先風呂入っちゃえば?丁度沸いたところだよ」


「あらそう、ならあなた。いきましょ」


「あぁそうだな、雪人、先風呂もらうな」


いや、基本的には優しい良い両親なのだが嫌なところを上げるとしたら、吐きそうなほどラブラブなのだ。

二人は同じ会社に働いているわけではなく、なんとびっくり家の最寄り駅で待ち合わせてから帰ってくるのだ。

いやもう本当に恥ずかしいから勘弁してほしい。


そんなこんなで夕飯をすませ、その他洗い物や洗濯、風呂などを済ませて、自室でダラダラとしていたら、突然電話がかかってきたのでとりあえず取った。


「はい。」


「もしもし雪人~?」


「あぁ桜か、どうしたんだ」


「え、ええと、す、少し暇な時間ができたからかけてみた!どうせ暇でしょ?」


「おい、人を暇人みたいに言いやがって、まぁいいや。話すか」


そこから二時間ほど他愛のない話を、ベッドに寝転がりながら話してたら睡魔が突然襲ってきた


「はぁあ」


「眠いの?」


「いや眠くない、全然、、ぜんzzz」


「あっ、寝た。もぅ、、

つなげたまま寝る雪人が悪いからね。久しぶりに寝息聞いちゃお」


ここで意識が完全に途絶えた。



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