第2話 桃太郎 その2

鬼との交易の日。

港にはたくさんの荷物が届き、人々でごった返していました。


荷物を受取り間違いがないか確認する人。

荷物をのぞきこみひやかす人。

食べ物を売る人。

踊りや唄を披露する人。


お祭りのような賑わいの中、怪訝な顔の人がひとり。村長です。仏頂面であっちへフラフラこっちへフラフラ。なんだか様子が変です。

その村長を陰から見る男がひとり。ちょうど村長が物陰に隠れたときそっと背後へ。

『鬼の里にゃもっとたくさんの財があるはずでさ。もっとたくさん欲しくないですか、ダンナ』と耳打ち。さらに『ダンナには一切迷惑かかりませんぜ』と。

たくさんたくさん宝が欲しくたまらない村長。悪いヤツの話にすっかりとりこまれてしまいました。

『詳しい話はまた』

最初からいなかったように消えてしまいました。村長はそっと家に帰ることにしました。



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