繭の中

Ryi

序章

私たちは、繭の中にいる。


社会という繭。

家族という繭。

私、という繭。


私たちは常に新しい何かに変わるために繭を造る。

繭の中でどろどろと淀んでいく。

何者にもなれない淀んだ何かを守るための殻を作る。

うねうねと肢体を動かし、口から言葉を紡ぎながら、ゆっくりと。


ゆっくりと、繭を造る。


繭の中で私たちは考えている。

何者にもなれない淀みの中で、自分を守りながら。

いつかこの淀みから羽化する夢を見ている。

どろどろと形のない自分から、いつか何者かになれるように。


そして私は今日も繭を造る。


インターネットゲームという繭の中で

「私」という存在を捨てて

他の何かになるのだ。


これは、繭の中の物語。

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