第13話 神は魔法を理解できない。
復職後、とんだ部署に配属されたものだ。引退したのは数百年前。その頃はこんな課は無かったのだ。魔法創造統制課、つまり魔法を順たて組み上げ、複数の世界で公使可能にする為の研究課になる。
暇だったからと、引退した我は呼び戻された際、以前の部署に配属予定のところを引き抜かれたわけだ。
理由は、以前勤めていた際、神の裁きを発動させた唯一の神だったからだ。なので必然的に回りは若い神ばかりだ。しかも、見たことのないモニターに向かい、これまた見たことのないキーボードを叩き入力していく。
炎獄火炎陣、爆炎獄破砕砲などよくわからない単語が並び、それらにルビを振っていくのだが……。
どちらも≪フレイムインフェルノ≫なのは、なんでだ? いや、正確には他にも同じ名前の魔法があるのだ。似ている物としてはフレイム・インフェルノだったりするわけだが、本当に訳がわからない。
何が違うのか? 周りを見てもこの疑問を抱くのは我のみのようで、皆は入力を淡々とこなしていく。やはり、古い我はついていけないのだろう。仕分けも面倒だ。字面から見た印象で分けると始末書ものになる。
絶対零度凍結波、龍聖水流壁など、波と水流だから、水魔法として登録したら見事に始末書を書かされた。
波とついているのに、『氷魔法』いや、氷と水の違いは温度だけじゃないのか? とか色々あるが、まぁ細分化の結果と見ればわかるもの。理解は出来ないが納得は出来る。
だが、水流が入ってるのにこれが水魔法ではないのは納得できないものだ。何故だ? 龍魔法の聖魔法?????
本当に止めてもらえないものか……こないだは、暗黒龍波とあったから龍魔法としようとして、嫌な予感から確認してみれば、闇魔法だったし。
魔法……本当に、理解できない。そもそも、複数世界の魔法をこちらで管理する必要があるのか?
威力の事項を見れば、『込めた魔力に依存する』『範囲規模:中 込めた魔力により範囲拡大』等と使用者でブレが大きいのだ。それを、管理と言っても不可能だろうに。
そもそも、管理しないと行使に支障が来る時点で魔法とはなんなのか……
復職後、常に頭に巡る疑問を抱えながらも、時代についていけない神は奮闘するのだった。
「魔法のない世界へ行きたい」
そう呟きながら。
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