xxとxy
薊
片恋
性別とは恐ろしい。染色体一本で分けられるソレは宗教や日常生活にも大きな影響を及ぼしている。生殖には雌雄がいるし、恋愛においても男女であることが当たり前になっているこんな小さな世界で、私は貴女に恋をした。
私は自分が女だけを好きになっていたのか、と言われたらそうでもない。別に男も愛することが出来る。でも、彼女はそんな男女という括りで纏められないほど魅力的だったことを覚えている。いや、忘れられないでいる。
制服の裾から覗く健康的で白い肌は靴下の紺を引き立て、光をも飲み込むような黒髪は肩の先までかかっていた。長いまつげに囲まれた瞳は焦げ付いたような深い茶色だった。
私は彼女の全てを知り、見たいという欲に塗れていた。悲しいときにあの瞳はどのように揺らぐのだろうか、あの黒髪が雨に濡れたらどの闇よりも濃くなるのだろうか、あの制服の下に隠された胴に噛みついたら。なんて考えるだけ無駄だ。そんな彼女はもうどこにもいないのに。
xxとxy 薊 @Thistle_misanthropy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます