伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その弐陸
「これでわかったと思う。アーティネスは最低な奴なんだ」
レイカーは顔を下に向けながら、そう言った。
前世で神話として美化された神様達が異常だっただけで、実際の神様なんてこんなもんだ。だから、大したショックでもない。
「レイカーを信じよう」
「ありがとう」
俺はレイカーと再度握手をしてから、会議を再開させた。まずは年明けに、反伊達政宗派の
ホームズの世界は輝宗の危険が
俺は会議を切り上げると、仁和がクリスマスパーティー用の料理を作っている調理場まで戻った。
仁和は
「そんなんじゃねーよ。あ、そうそう。クリスマスパーティーの参加者は登場人物全員にしろよ!」
「登場人物? あなたは何を言っているんですか?」
「んー、今までに会ってきた奴らを呼べってことだ。わかったか?」
「ええ、わかりました。家臣全員と真壁
「家臣全員の中に
「はい」
「ならそれで大丈夫だ!」
「では料理を始めましょう」
「えぇっ!!」
それから日が
そんな嵐が過ぎ去り、そうして十二月。クリスマスパーティーを
虎哉は俺と仁和で作った伊達巻き(に近い食べ物)を
「それは伊達巻きと名付けました。師匠の口に合って良かったです。伊達巻きは軍配士である仁和凪という家臣が考案し、私と一緒に作り上げました」
「ほお、仁和寺と同じ名前ですね。それは
「頭のキレた軍配士です。ここに呼びましょうか?」
「死ぬ前に若様の軍配士をお目に掛かりたい
「わかりました」
俺は仁和がいる場所まで行って、仁和を探した。すると仁和は調理場で調理の指導をしていた。
「おい、仁和」
「今はクリスマスパーティー中では? 私に何かご用で?」
「師匠が仁和と会いたいと言ったんだ。伊達巻きをいたく気に入ったようで、考案者とお会いしたいようだ」
「師匠とは、虎哉殿のことですか?」
「ああ、その通りだ」
「そうですか。気に入ったのですね」
「そうらしい。んじゃ、着いてきてくれ」
「はい」
仁和は俺を追うようにして着いてきた。俺は虎哉がいるところまで行くと、仁和を虎哉の前に立たせた。
「こちらが軍配士の仁和凪です」
「どうも、仁和です」
「わしは虎哉宗乙。幼き若様の教育係を務めておりました者です」
虎哉は仁和と両手で握手をした。
「虎哉殿は伊達巻きを気に入ったと政宗殿から
「それはもちろん! あんな
「ええ。政宗殿にも手伝ってもらって少しずつ改良をし、今虎哉殿が食べているような伊達巻きに仕上がりました。美味しかったのなら
「次に新たな料理が完成しましたら、
「はい。次は試食に呼ばせていただきます」
俺は日本酒をたしなみながら、二人の会話を聞いていた。仁和はいつも
「若様!」息を切らせながら、小十郎が走り寄ってきた。「
「ご乱心......酒に酔って家臣が暴れているってことか!?」
「さようです」
アルコール度数の高い日本酒を家臣に振る舞ったのが失敗だったか。
小十郎が案内した場所では、家臣二人が顔を真っ赤に染めながら服をつかみ合っていた。
「下がれ、お前ら!」
俺が一声掛けるが、なかなか喧嘩をやめない。ついに泥酔者の片方が発狂し始めた。
その発狂した声を聞いたのか、駆けつけた輝宗が声を張り上げた。「貴様ら何をやっておる! やめんかっ!」
輝宗がそう言うと、両家臣は離れてひざまづいた。さすが輝宗だ。
「いいか? 今は政宗が当主だ。たとえ俺が言ったことに反していても、政宗の言ったことを優先するんだ!」
「「わ、わかりました!」」
「お前らは一ヶ月は酒を飲むな! 禁酒をしろよ!」
驚くほど輝宗に
「政宗。後処理は任せるぞ」
「ありがとうございます、父上」
「うむ。困ったことがあったら、いつでも頼るのだぞ」
「はい!」
輝宗は両手を背に回して、腰を押さえながら廊下へと歩みを進めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます