伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その弐参
「仁和」俺は仁和に顔を向ける。「ちょっと来い」
「わかりました」
仁和を
「お前らはまだ拾っていてくれ。俺は用事がある」
俺がやるべき仕事を家臣に丸投げし、仁和の元へ向かった。仁和はニコニコしていた。
「何を隠しているんだ、仁和?」
「バレましたか」
「やっぱり、お前が俺の部屋の窓を開けたんだな?」
「はい」
「目的は、家臣どもの結束力を生むためか?」
「その通りでございます。さすがは政宗殿。私の作戦はご
「まあ......それはいいんじゃないか。ただ、俺の部屋に勝手に入るな」
「何でですか?」
おっと、これの返答は困るな。何と答えれば良いのだろうか。本当のことを言うのか? んー、いやでもなぁ。
「俺が部屋に入るなと言ったら入るな。わかったか?」
「仕方ありませんね。了解しました」
「ああ、それで良い」
さて。これから権次と兼三のところへ行こう。網戸を作らせないといけない。
「今日も料理をしますので、すぐに帰ってきてくださいね」
「わかっている。家臣をちゃんと統率してくれよ」
仁和は首を縦に振ったから、俺は権次がよく行く部屋に足を運んだ。すると権次が武器の設計図を書いていた。
「真面目だな、権次!」
「これは若様! どのような用でして?」
「作ってもらいたい道具がある。まだ見たことがないような道具かもしれんが、作ってくれるか?」
「見たことがないような道具ですか?」
網戸は1600年以降に作られたものだと記憶している。つまり、権次は網戸を見たことないはずだ。
「絵を描くから、それを元に設計図を書いてくれ」
「わかりやした」
「紙はあるか? 筆と
「これです」
俺は権次から紙と筆、墨を受け取った。数十年前に日常的に使用していた網戸の姿を思い出し、フレームを描いて網も描いて、特殊な機能を取り付けたりもした。
「これは網戸というものだ」
「網戸ですか。ほう、窓に取り付ける開閉式のものですね」
「どうだろうか、この網戸。作れるか?」
「頑張れば何とか......。ただ、ここまで精密な金属製品を今の技術で作るのは難しいでしょう。
「設計図は権次が得意中の得意だろ?」
「ええ、まあ」
「設計図は権次、作るのは兼三に任せる。試作品が完成したら、まずは俺に見せてくれ。んで、その網戸なるものは開閉式だ。俺の部屋の窓の形に合うような網戸を作れよ」
「承知しました」
俺は権次と兼三に網戸の製作を任せた。そして仁和が待っている部屋に帰った。
仁和とのクリスマスパーティーの料理を終えると、輝宗を助ける
「やあ」レイカーは優しい声で話し掛けてきた。「また来たね、名坂君」
「呼んだのはそっちの方だ」
またレイカーに呼び出されたようだ。俺は何にでも染まりそうな真っ白い床に腰を下ろす。
「ホームズは役に立っているかな?」
「今のところは役に立っていない。ただ、ホームズが鍵を握っているというのは確かなことだ」
「何で確かだとわかるんだい?」
「レイカーが嘘を言っているようには見えない。だから逆に困っているんだ。ホームズの言っていることを丁寧に聞いて、そこから状況を整理している最中だ」
「信じてもらえたなら良かった」
「それより、俺はこれからどうすれば良いんだ!?」
「君が言っていたことじゃないか。年が明けてから戦を開始するんだ」
「それはわかっているんだが」
ホームズの話していることは、本当に輝宗を助ける方法へ
「僕のような人間寄りの神様達は、君が希望なんだ。人間寄りの神も酷い行いをするが、それでもマシな方なんだ。神界から、人間寄りではない神を根絶やしにしないといけない。君には、それが出来る!」
「はぁ!?」
「君はいずれ神になれる! アーティネスに洗脳されてはいけない」
「な、何を言ってやがんだ。アーティネスは良い奴だぞ!」
「それが洗脳というんだよ。太陽神は代々、洗脳技術が高い。神は洗脳をするのが普通だけど、太陽神の器であるアーティネスは洗脳技術は異様に高い。彼女は危険なんだ」
「レイカー! いい加減にしろ!」
レイカーは急におかしなことを言いやがる。俺はレイカーの手を振りほどいて、後ずさりをする。
「君はアーティネスに洗脳されているんだ......」
「戻せ。伊達政宗の体に、この意識を戻せ!」
「やめるんだ! アーティネスを信じるな! アーティネスは輝宗を殺すように名坂君を操っている。君はアーティネスの思いのままに、輝宗を殺して良いと考えるのかい?」
「アーティネスがそんな奴のわけないだろ!」
俺は眉をひそめて、レイカーを
アーティネスがそんな悪い奴の可能性はない。俺のために様々なことを助けてくれている。
「俺はアーティネスを信じるぜ」
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