伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その拾伍
犯行予告はルパンが完全に明智らを舐めているから出来ることだった。そして今度は、前回よりも警備の者を配置した。ブルーダイヤモンドが飾られている部屋にも仕掛けがないか確かめられ、ルパンがつけいる
もちろん、ルパンが変装をするということは承知である。一警官や波越警部、明智に至るまでルパンが変装していないか確かめられた。その結果、ルパンは誰にも変装していない。明智も波越警部いわく以前とまったく変わらず、波越警部も変わっていない、と明智は言い返す。
この警備には穴はなく、さすがのルパンであってもここから盗み出すことは不可能なのではないかと思われた。そんな時である。停電が起こったのだ。
「波越警部! 至急、電気を」
「む、わかっている」
停電は数分で回復。しかし、ブルーダイヤモンドの姿はなかった。明智は頭をくしゃくしゃに掻きむしる。
「またしてもやられた!」
警備にはルパンが侵入にも逃走にも使える穴はない。なぜルパンが盗むことが出来たのか。だが、そんなことは世間には関係がなかった。世間にとっては、ルパンの復活の恐怖がそんなちっぽけな謎を打ち消したのだ。
ブルーダイヤモンドがルパンによって盗まれた、と新聞に書き込まれた当日。ルパンは一室で新聞を丸めてゴミ箱に突っ込んだ。
「ちくしょう!」ルパンは成り行きで、椅子を蹴り飛ばす。「何者かにブルーダイヤモンドを横取りされた!」
ホームズはルパンから貰ったビリヤードパイプを口にくわえ、煙を吹かしていた。「なら、誰が盗んだというんだ。確かに僕は日本が好きだから
「それが、どういうわけかこの国には私に匹敵する泥棒がいるんだよ」
ホームズは勢いよく椅子から立ちあがる。「そんなまさか! 君に匹敵する者がこんなせまい国に二人もいるということか!?」
「そうなんだよ。いるんだ」
「それは誰だい?」
「怪人二十面相と名乗る変わり者さ」
「怪人二十面相? 聞いたこともない名だ」
「奴はイギリスまでは行かない。ただ、腕は確かなことは本当だ。奴ならやりかねない」
「知り合いなのか?」
真剣なホームズの質問に、ルパンはゲラゲラと笑った。
「何がおかしいんだ」
「知り合いと言うのも
「知り合った?」
「奴から私の元に近づいてきた。ルパンと会える機会は今しかない、とか言ってね」
ホームズは口をひん曲げ、眉をひそめた。それから、くわえていたパイプをガリガリと噛んだ。これは推理に詰まった時のホームズの癖なのである。
ルパンは怪人二十面相にやられたのだとわかると、
「ルパンよ。ついに僕のせいにしたか」
「探偵に怪盗術がわかるわけがないんだ! 無駄な口出しをするんじゃない!」
「それを受け入れて実行に移したのは君だろ」
ルパンとホームズはにらみ合い、ホームズはパイプの中身を移し替えて吹かす。ルパンは緊張を
「ルパン。別に泥棒を手伝ってあげてもかまわない。僕は今までにいろいろな犯罪者の手口を見てきたんだ」
「ああ」ルパンも何とか正常を保つ。「共闘だったね。仲間割れはいけない」
「僕がモランを倒すまで、ルパンには助けてもらうことになりそうだよ」
「この仕事に手伝ってくれるなら、ある程度の協力はする」
二人は握手をし、仲を修復するように努めた。そしてルパンは薬品をホームズに手渡す。「ホームズも変装は得意なようだが、その分野は私の専門だ。明智君も変装を得意としていたが、探偵があそこまで変装を極めるのは希だ」
「そうか。君から見れば僕の変装もまだまだということか。これでも自信があるほうなんだがね」
「君の変装も大したもんだよ。気を落とすようなことじゃない」
ホームズはくわえていたパイプを手に持って、テーブルに置いた。そして、ルパンから渡された変装に使う薬品を受け取る。
「どうすれば変装がうまくなる?」
その言葉を聞いたルパンは、ニヤリと笑った。それからは怪人二十面相を倒すために、ホームズは変装術を真剣に学んだ。その後のホームズの変装術の上達ぶりを見たルパンは、弟子にしたいくらいだと
ホームズはルパンから教わったことを身につけるため、日々努力を重ねた。そうして数ヶ月後。ルパンは日本の有力紙全てに『怪人二十面相への挑戦』という題で文書を送った。これに有力紙は飛びつき、
この新聞を見た怪人二十面相もこれを
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