伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その漆
俺が真剣に、仁和を斬る覚悟をしていた。なのに仁和は、クスクスと笑い出した。
「何がおかしいんだ、仁和?」
「私達が義継を殺そうとしているとでも?」
「ち、違うのか!?」
「敵を
「後で説明しろ」
「わかっています。まずは、着いてきてください」
仁和ら未来人衆から何の説明もなく、俺は小手森城に向かって歩みを進めていった。小手森城の奴らは、俺の姿を目視すると焦って義継の元まで通してくれた。義継の配下どもは、俺に恐れおののいているようだ。
すんなりと義継に会うことが出来て、俺は怒ってはいないが眉間に
仁和は前に出て、鋭い眼光を義継に向けた。「私は仁和と申します。政宗殿からの意志を伝えに来ましたが、政宗殿自ら言いたいとのことでした」
「そ、そうですか......」
「義継!」俺は前に踏み出して、怒りの表情を浮かべた。「大内氏と仲良いのか?」
「まさか、そんなことはないです」
「裏切ったりしたら、ぶっ殺す。大内氏側に着くなよ? そうしたら、末代まで呪ってやるからな。あ?」
「ヒイイィィィー! はいっ! 裏切りません!」
おっと。義継に裏切られないと、歴史変わっちゃうな。
「裏切っても構わないが、俺は許さないかもしれんぞ」
「は、はぁ」
義継に裏切らせることを失敗し、仁和から殺気を向けられた。俺は仁和から目をそらした。
その後、仁和は義継を
俺は仁和を呼びつけた。
「私に何か用でも?」
「なぜ義継の元へ向かっていたんだ?」
「もうお察しではないのでしょうか? だから私をここに呼んだのですよね?」
「ある程度は仁和がしたかったことはわかっている。が、本人の口から聞く必要があるからな」
「そうですか。では、仕方ないです。話しましょう」
「それで良いんだよ」
仁和は咳払いをしてから、俺を見た。「畠山義継には裏切られないと作戦は開始しません。だから、裏切られるために義継を
「締める......うん、まあ予想内」
「敵を騙すにはまず味方から騙す必要もあったので、未来人衆全員が政宗殿を裏切ったように見せかけました」
「なせ裏切ったように見せかける工作をしたんだ? そんなことはやらんでも良いだろ」
「いえいえ。何となく、政宗殿から騙してみようかと。その方が、相手を騙せる力が付くと思いました」
「うん、予想外だった」
天才の思考がまったく要領を得ない。わからない。前世で生徒の思考を読むことに
「政宗殿。義継らを裏切らせることは私に任せてくださいませんか?」
「構わんのだが、その作戦とは具体的にどんなものなんだ?」
「説明しないといけませんか?」
「その作戦が成功出来れば俺は笑って許すけど、失敗したらまずい感じするんだよな~」
「それもそうですが、私の作戦が失敗しないことは政宗殿がよくご存知では?」
仁和に勝てる気はせず、なら好きにしろ、と言ってやった。
「ありがとうございます。これより、作戦を実行いたします」
「任せた」
「はい」
仁和は駆け足で未来人衆と合流した。
これで義継が裏切ったとして、俺は年明けから暴れまくれば良い。ゆっくりと年明けまで遊ぼう。最近は動き回っていたから、
俺は本丸御殿でどんな遊びをするか試行錯誤していた。で、もう年末だからクリスマスパーティーでもしようかなと考えてみた。全員で集まってプレゼント交換とか
そうこうしていると、仁和は未来人衆とともに騒いでいた。俺はトランプとかをいじって、一人で
もうそろそろ、神経衰弱が束になって完成しようとしていた時。義継が裏切ったと報告が来た。さすが仁和、恐るべし。もう作戦を成功させたようだ。
本丸御殿の扉がノックされた。
「仁和です」
「入れ」
仁和は、してやったりというような笑顔を浮かべていた。「義継を裏切らせることに成功いたしました。どうでしょうか?」
「よ、良くやった! ではこれから年明けまでは、絶対に行動を起こすな」
「わかりました」
「うっし! んじゃ、クリパやるぞ!」
「『マハーバーラタ』に登場する''クリパ''ですね? そのクリパを
「マハーバーラタ!?」
国語の先生が言っていたな。インドのヒンドゥー教の聖典の一つが『マハーバーラタ』って奴だ。その聖典に、どうやら『クリパ』という人物が存在するようだ。
「聖典のクリパではなく、クリスマスパーティーの方なんだが」
「なるほど、クリスマスパーティーを略してクリパ。そっちの方でしたか」
「クリスマスパーティーを
「承知しました」
これから仁和の前では、『クリパ』とは略さず『クリスマスパーティー』と言うしかない。
【作者から謝罪】
昨日、小説家になろうでだけに次話を投稿していました! すみません!
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