伊達政宗、信長救出は伊達じゃない その拾伍
俺は朝起きると、昨日何をしていたか思い出した。昨日は成実のために、あの後詰め将棋を十個くらい作った。大体五手詰めか七手詰めだったと思う。詰め将棋を作る作業を終えると、それからすぐに布団に潜り込んだ。そして、今に至る。
もうすぐ本能寺の変だ。ヘルリャフカ
本能寺の変まであとわずかで、配下の者達も準備を着々と進めていた。俺はすでに準備が完了していて、あとは本能寺の変を待つばかり。計画にも穴はないはずで、信長救出はうまくいきそうだ。問題は、ヘルリャフカだ。
奴が邪魔をしてこないとも限らないし、慎重に行動しないといけない。
「成実、成実はいるか?」
成実はすぐに駆けつけた。「どのような用でしょうか、若様」
「本能寺周辺の地図を用意しろと頼んだが、今思えば頭の中に本能寺の地図が入ってるから用意しなくていい」
「承知しました」
俺は本能寺まで何回も行っているし、地図は頭の中にインプットされている。完璧だ。
「成実。これから最終的な会議をしたいから、仁和、二階堂、忠義、景頼を呼んでくれ。もちろん、成実も参加しろよ」
「わかりました!」
本能寺の変は早朝に起こったから、夜の内に行動を開始した方が良さそうだ。
これからの会議で行うのは、本能寺を攻略するための綿密な計画の仕上げだ。仁和さえいれば、自然と計画が完成に近づいていく。彼女は未来人衆統率官に適任だった。さすが俺だな、見る目があるぜ。ぶっちゃけ、仁和に丸投げだな。気にしないでおこう。
信長救出が成功したら、信長に同盟を申し込むか。信長を救った
会議が始まり、基本的に仁和が計画の穴を埋めていった。穴がなくなった計画に目を通した俺は、計画通りに実行する、と宣言した。
移動手段は俺の転移、転移以外は馬での移動。本能寺には馬で突っ込み、逃げるときは温存しておいた転移で米沢城まで移る。細かい計画の説明は後にして、そろそろ出発か。
本能寺の変は旧暦六月二日の早朝四時近くに起こった。旧暦は月の動きを元にしている
それに、本能寺に明智軍が攻め込んだ時は
新月も近づいているし、今日中に米沢城を出よう。歴史が変わって、明智光秀がいつ本能寺の変を起こすかも確証がない。今日の夜に本能寺の変が起こる可能性もある。俺の転生が周りに影響を与えていることも否めきれない。
「若様」景頼は準備を終えてから俺に近づいてきた。「本日出発と耳に入れましたが、本能寺に向かう際の部隊を聞いておきたいのですが」
「未来人衆の速攻部隊と遠距離
未来人衆速攻部隊には二階堂が、遠距離射手部隊には忠義が所属する。二階堂も忠義も、両部隊での主力となっている。エース格と言うことだ。
「かなり多数で向かうのですね?」
「ああ、今回の遠征はヘルリャフカを倒すためじゃないから、少数じゃなくても足手まといにはならないんだ」
「あ、それと、報告があります」
「言ってみろ」
「人数分の馬を用意出来ました。出発はうまくいきそうです」
「それは良い。出発する奴らを外に並ばせておけ」
「了解しました」
景頼は急いで伝言を伝えるために走って去っていった。
俺も防具を
「皆よ。馬に乗り、地を駆ける! 行くぞ!」
一斉に馬に飛び乗って、俺達は米沢城を出た。
「忠義、二階堂! 二人は重点的に前方を警戒して見ていてくれ。成実、景頼は左右を警戒。未来人衆遠距離射手部隊は後方を注意し、敵がいた場合は弓で仕留めよ!」
命令を下した俺は、警戒を皆に任せて一直線に前に向かって馬を駆けていった。
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