第2話
俺はベンチに両手両足を『大』の字に広げて大きな声を出した。
すると、坂月は驚いたのか肩をビクッとさせた。
「なっ何よ。びっくりするじゃない」
「な、何でお前がこんなとこにいるんだよ」
2人とも理由は違うが激しく動揺していた。
「私はこの公園から家が近くてたまたま通りかかったの。ほんとにほんとよ。」
坂月は疑われているのを疑い念を押して言った。
「大体、あなたこそこんなところでなにやっているのよ」
「おっ俺は、家の鍵を忘れてここに居るんだ」
思いがけない人物との遭遇でいまだに動揺が収まらない。
「なるほど、そういう事ね。もうこんな時間だし私は帰らせてもらうわ。あなたも遅くならないように帰った方がいいわよ、期末テストも近いんだしね」
ずいぶん納得がはやい坂月は、駅の方面に向かって歩き出した。
『終わった。人生終わった。』
妄想しているところを目撃された。しかも、同じ学校の知名度のあるやつに。
もし、坂月が学校の人に口を開いたりでもしたら、俺の夢は高二で絶えることになる。
坂月は、うちの学校の中では1番の美人だと有名で、彼女には涼しくて刺すような美しさが内側から滲み出ている。
誰もが一度は、想像するであろう彼女との交際を!!
それほど、人気で知名度がある人が口を開いたりでもしたら・・・。
ダメだ
絶対にダメだ
絶対に死守する
俺の学園生活を
毛布の中から脱出した足が感じる寒さは冬を連想させる。
今朝の気温は低く、いつもより早く目が覚めた。
『・・・・・・』
先日のことを思い出し、学校に行くのが憂鬱になった。
俺は、坂月に口止めしてもらうべく家をいつもより早く出発し駅で待ち伏せした。
ーーしかし、坂月 結葉は現れなかったーー
『あいつ、確かにいったよな。あの公園が家の近くだ、と。あの公園は今いる駅から1番近い所だ。だから、絶対に坂月の最寄りの駅はここのばずだ』
まずそもそもが、学校自体が欠席であるか。
もしくは、俺よりも早く学校に向かったか。
両親のどちらかに、来るまで送ってもらうなど、色々と来なかった仮説を立てられるが、、、
今思うと、この学校に入学し二年間一度も坂月と遭遇したことがない。
色々考えていくうちに学校に到着したが、一限は既に終わっていて二限目からのスタートとなった。
「英ちゃん、寝坊したの?」
嬉しそうな気持ちを露骨にしこちらにスキップで向かってきた。
「あぁ、そうだ。昨日は色々あって疲れたんだ」
輝には一応黙っ
ておこう。
今は、メリット・デメリットを生み出す必要は無い。合理性に欠ける。
そんな厨二発言を内心で呟いて自己満していると
「そういえば、先生が放課後に職員室に来るようにって伝言もらったからしっかりいってよねー!怒られるの僕なんだから」
「あぁ、わかったよ」
放課後俺は輝に言われた通りに職員室に向かった。
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