【あれほど言ってた『同調圧力』ということばを、突然忘れた日本のマスコミども】

 森喜朗が東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長を辞めざるを得なかったのは『市民の声を無視できなくなったからだ!』などと言っている者達がいる。

『世論を読み誤ったからだ!』と曰う者達がいる。

 日本のマスコミどもだ。


 例えば2021年2月13日付毎日新聞社説「森会長辞任と後継人事 旧弊を改めていく契機に」(https://mainichi.jp/articles/20210213/ddm/005/070/134000c参照)では、


>辞任に追い込んだのは、市民の声である。


 などと書いてしまっている。

 むろん一つの具体例として出しただけで、基本日本のマスコミはこれと大きくは外れていない。

 こういうのは精神的逃避を試みているだけの言論で、現実を直視したくない者どもの言うことである。



 まだまだ新型コロナ騒動の渦中にある。『自粛警察』『マスク警察』という造語はまだまだ忘れられていない。

 『自粛警察』『マスク警察』は自粛をしない者、マスクをしない者に次々圧力をかけ、そして他人の行動を変えさせていく。逆らう店を自粛させ、マスクを付けない者を容赦なく悪魔化する。

 この件について日本のマスコミがなんと言っていたか?

 『調』と言っていた! 日本のマスコミ諸君! 己の言ったことをなぜ突然忘れるのか?


 『調』、それは読んで字の如く。圧力をかけられると簡単に同調してしまう様を指す日本人の宿痾である。ついこの間までマスコミはこの日本人の欠点を明確に指摘できていた。

 それがなぜ今回は指摘できなくなった?


 森喜朗が東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長を辞さざるを得なくなったのはこの同調圧力に原因がある。

 同調するよう圧力をかけてきたのは欧米メディアだ。その圧力に同調してしまったのが悲しいかな日本人。日本の世論とはそうして同調してしまった結果造られたもので、いわゆる『森喜朗女性蔑視発言問題』は、『自粛警察』『マスク警察』の問題と構造が同じなのだ。


 森喜朗が辞さざるを得なかった原因は日本の世論になど無い。欧米メディアがかけ続けた圧力にある。日本人は圧力をかけられると簡単に同調してしまう。日本の世論なるものがそうして造られた以上、原発(原子力発電ではなく医学用語の方)にはなり得ないのである。


 なお、俺には〝反日属性〟は無い。

 『日本人が欧米に痛めつけられて屈服しやがった! 飯ウマっ!』という感性は無い。むしろその逆だ。

 日本人はこの『同調圧力に弱い』という欠陥をいい加減克服する時じゃないか。そう言っている。

 そのためにまずすべきことはなにか? 同調圧力に極めて弱いこの国民の国民性をまず直視しようぜ日本のマスコミさん。そして君ら日本のマスコミ自身も、反日をやっている者も含めて同調圧力に弱いのだと自覚しよう。その証拠に、いわゆる『森喜朗女性蔑視発言問題』じゃあ『同調圧力』という語彙を使えてないだろう?


 己の欠陥を直視するところから克服は始まる。

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