第9話
「古木くん、説明してもらえる?」
神下に説明を求められ、俺は自分の計画を話す。
バトミントン部に入りたい人を探すのでは無く、入らざるを得ない人を集める。
あとは説得するだけだ。だいたい自分で部活動も決められなかったやつはこちらの意見に流されやすく説得が上手くいく算段はあった。
ただ、結局は成功しているのだがそれ以前にTwitterでそういう人の目に着くのかは正直運任せな部分があった。
俺の説明を聞いた神下はどの感情ともつかない表情をする。
「そう、北浦さんにもお礼言われたし何はともあれ依頼達成ね。」
「うんうん、美胡からお礼のメッセージも来たよ。また遊びに来てねだって」
美胡? そういえば依頼者の北浦はそんな名前だったか。というかいつの間に連絡先交換したんだろうか。
「ていうか、フルっちお昼どこで食べてるの? 昼休みもビラ配りするから呼ぼうとしたのに教室にも食堂にもいなくてー」
「いや俺は昼は校舎裏でだな」
「校舎裏? 一昔前の不良みたいな場所選びね」
「校舎裏な、ちょうど木があって小暮みたいになってんだよ」
本当に昔の不良は校舎裏で決闘してたのだろうかと思っていると右腕をちょいちょいと小突かれる。見ると浜辺がスマホの角でこちらを小突いてきたのが分かる。
「あのさ、そういう訳だからLINE交換しよ? フルっちも何でも部入るでしょ?」
「なんだその呼び方。俺のあだ名?」
「そうあだ名! 古木だからフルっち!」
なんの捻りも無いあだ名を勝手に付けられてしまった。
「古木くん、私とも交換しましょう」
「あっ、じゃあもう部のグループ創っちゃお」
しかもやはりこの何でも部に入ることになってしまった。まあ他の部活を今から見つけるのは無理だな。創部も考えたが俺にはもう一人の部員集めるアテが無いし、アニ研や漫研が無いことを考えるとこの高校の創部を承認する側はサブカル系には厳しいのかもしれない。
俺はポケットに手を突っ込み、入部届の紙がまだ残っていることを確認する。適当な枚数取った紙はまだ3枚残っている。名前とクラス、希望の部活を書くスペースしか無い薄くて小さい紙は体温でかすかに温められていた。
1枚を取り出し、どうにでもなれとその場でペンを走らせた。
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