第9話 攻略対象者の情報

〈攻略対象者〉

☆アシュベル・バルトロマイ伯爵令息

深緑の髪に金色の目をしていて、銀縁の眼鏡をかけている。宰相の息子で、地位は伯爵だけどオルジェイトゥ帝国の皇族と縁があり一目置かれている貴族。

成績は常に学年トップで次期宰相としてとても優秀な人だ。

ただ幼馴染の女性にストーカーをされて以来、女性恐怖症になる。

アイルは彼の女性恐怖症を克服するためにいろいろと手伝う。その結果、彼と親密になる。

彼はアイル以外の女性には冷徹。アイルをとても溺愛しているので、バッドエンドの場合は監禁され、手足を鎖で繋がれる。

『こうして閉じ込めてしまえば、あなたはが誰かのものになることはない。あなたは私だけのものだ』とヤンデレ化したアシュベルに溺愛される代わりに自由を失うのだ。


☆カーディル・オルジェイトゥ

赤い髪に金色の目は獣のように鋭く、人に恐怖心を与える。オルジェイトゥ帝国の第一皇子であり、アシュベルの従兄。武の才に恵まれ、帝国では十六歳の若さで英雄として崇められる一方で敵と判断した者は女子供であろうと容赦をしない残酷さでも有名になる。

彼の人間性に不安を感じた皇帝が見聞を広めることを目的としてルシファーノ国に留学させる。アイルとは学園で出会う。

カーディルに近づく女性の殆どが彼を身分でしか見ておらず、それに嫌気が差したカーディルは女性嫌いに。女を見下す言動が多々あり、アイルともそれで最初は衝突していた。けれど物怖じせず自分の意見を言うアイルに好感を持ち、そこから恋愛に発展する。

アイルに対して恋愛感情を抱いたカーディルはアイルに近づく男性を片っ端から排除していった。

ハッピーエンドは多少、束縛が強いものの何の問題もない夫婦生活を送れるけどバッドエンドの場合はアイルと親しい人間全てを排除して彼女が頼れるのは自分だけという状態を作り上げてから溺愛することになる。


☆ユニアス・ヤバエル侯爵

アッシュグレーの髪に灰色の目をしている。アイルの専属護衛。騎士団団長。攻略対象者の中で唯一の大人。攻略時は三十六歳。

彼は戦争に行っている間に婚約者に浮気をされた。婚約者は別の男の子供を身籠っていた。婚約者はユニアスに謝るどころか「寂しかったのだ」と「あなたがすぐに帰って来なかったから」とユニアスを責めた。

婚約者とは当然、婚約破棄。

そんなユニアスの心の傷をアイルが癒す。彼は優しいから何も問題がなければ穏やかな夫婦生活が送れる。しかし、バッドエンドの場合は『奪われるぐらいなら、奪われる前に』とアイルを殺して自分も死ぬ。


◇◇◇


「こんなものか」

アイルから聞けた情報をノートにまとめてみた。

整理してみると危ないのはカーディルだ。彼のバッドエンドの場合はアイルの関係者全員が死ぬことになる。関係者ということはアイルの親友であるレイファも当然だけど含まれる。

「会ったことがないのはユニアスだけね」

ユニアスの場合、バッドエンドで死ぬのはアイルとユニアス。当事者の二人だけなので問題はない。

「アイルと攻略対象者の三人はいつ会うのかしら?学園が始まったら会うのかしら?」

学園入学可能年齢は十五歳から。

アイルが入学した時、レイファは十八歳。

先に入学しているのでアイルに学園のことを教える役割もある。

「レイファってつくづく面倒な立場よね」

どうして他人の世話をここまで焼かないといけないのかしら。

この王女もちょっとレイファに頼り過ぎじゃない。学園に関する説明があるんだからそれで理解すればいいじゃない。分からないところは同級生と見つけていくのが新入生の醍醐味でしょう。

「さすがはマヤが好きになるキャラね。他力本願なところがそっくり」

だけど他人事じゃないすまいのよね。それにこれだけの情報じゃあ何の対処もできない。

それにアイルは自分のことばかり。アイルに関する情報、攻略対象者に関する情報ばかりで結局、乙女ゲームでのレイファの運命が全然分からない。

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