動員
サンドール王国 王城
丘の上に建つ綺麗な城の中、声を荒げる女性が一人。
「食料の上納は削減すると約束したではありませんか!」この国の女王、ローザである。
「今行っているのは、上納命令でなくただの要求です。帝国は日本との戦いにおいて、大陸軍の動員を決定しました。当然兵糧が必要です。」アンゴラス帝国駐サンドール王国大使が言う。
「ふざけないでいただきたい!」
「なるほど、貴国は帝国の要求を断ると。ならばそう報告するだけです。」
ローザは苦虫を噛み締めたような表情を浮かべ言う。
「分かりました。なんとか手配します。」
「では、よろしくお願いします。」大使はそう言うとにこやかに扉から出ていった。
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サンドール王国 王都
「止めてください!これを取られたら明日から何を食べて生活すればいいんだ!」男は小麦粉の入った袋に抱き付き懇願する。
「しるか!」兵が金属棒で男の頭部を強打する。
「ガハッ!」
「お父さん!お父さん!」娘だろうか。少女が倒れた男の側で泣き叫ぶ。
「最初から大人しく渡してればいいんだよ!よしっ!次いくぞ。」兵隊はぞろぞろと隣の家に向かうのだった。
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サンドール王国 とある酒場
「本当に何なんだよ!」
「全くだ!」酒場は今朝発布された、特別食物徴発令の話題で持ちきりだ。
「カランコロン」と扉に付いたベルがなる。しかし、それに気付かず男は続ける。
「これなら、前の王の方がましだ。全くやっぱりダメだったんだな。女に政なんて無理…どうした?ウインクなんかして。」
「ほぉ。なるほど。公の場で堂々と姫様を侮辱するとはいい度胸だ。」女騎士、カルリーノが殺気を隠そうともせず言う。
「あのっ!いえっ!違います違います。許しゴブッ」男は、金属棒を頭に喰らい気絶する。
「特別食物挑発令を実行する。倉庫にある食料の8割を徴発する。案内しろ。」カルリーノは男を縄で縛りながら言う。
「8割は多すぎませんか?」マスターが言う。
「お前も痛いのが好みか?」カルリーノがマスターを睨み付ける。
「いえっ!めっそうもない。ご案内致します。どうぞこちらへ。」マスターは奥へと案内する。
「おっかねー姉ちゃんだぜ。」
「取り敢えずこいつを運ぼう。このままだと殺されるぜ。」
「いっせーのーで!」
男達は、縄で縛られた飲み仲間を遠くへ運ぶのだった。
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