30日目

 朝日が登ると同時に、俺とルナは魔王城へ突撃した。

 

 襲いかかる魔物を魔剣で吹き飛ばしながら、最上階の魔王の間へと向かう。

 

 魔王城は想像以上に広く、魔王の元へたどり着いた時は既に夕方だった。


 口上を述べる暇もなく、俺達の最終決戦が始まる。


 傷を負っていても魔王の動きは速かった。これでは魔剣を普通に撃ったところで当たりはしない。


「私があいつの足を凍らせて止める。そしたらヒナタがとどめを刺して」

「わかった」


 俺とルナは作戦をたてる。


 だが、威力を抑えて連射性を高めたルナの凍結魔法も、魔王には紙一重でかわされてしまう。

 俺の炎の魔法も、やはり同様だった。


 気付けば、太陽は地平に沈みかけていた。

 このままでは間に合わない。


 魔王がニヤリと笑った。


(こいつ……!)


 こいつは、俺の焦りを見抜いていた。

 わざと時間をかけていたのだ。


 そして、日は沈んだ。

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