17日目

 北の孤島に着いた。

 ドラゴンは島の中心にある山の頂上に住んでいるらしい。


「ドラゴンが力を貸してくれるのは、心の清い人間だけなんだって」

「なら俺は大丈夫だな。なんせ世界を救うために魔王と戦ってるんだから」

「あんたは自分の命が惜しいだけでしょ」


 道中で角の生えた少女が倒れていた。

 ケガして動けません助けてください、と少女は泣いている。

 だが角が生えて尻尾が生えている。


 俺と女神は小声でひそひそ話し合う。


「これってあれだろ。ドラゴンが化けてるんだろ」

「やってくる人間が、善人か悪人か見極めるためのテストしてるのね」


 おとぎ話でよくある展開だ。

 

 そうと分かれば話は早い。


「よしよし、可哀そうに。助けてあげるよ。俺は優しいからな」


 俺は少女をおぶってやる。


「環境保護って大事だよな」

「そうね。CO2を削減しないと」


 少女を背負いながら、俺と女神はこれ見よがしに善人ぽい会話を交わした。

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