7日目

 魔物に襲われている行商人に出くわした。

 火の剣の火球を連発して助けてやる。


 行商人はお礼に、と言って1000ルピー札を差し出してきた。


「金はいらない」

「なに気取ってんのよ借金持ちのくせに。いいから貰っときなさいよ」


 女神が短絡的に言うが、2億の借金背負ってる俺が1000もらったところで雀の涙にもなりはしない。


「それより、あなたが旅して知ったこの世界の情報を教えてくれ」


 これが真の賢者というものだ。

 その場限りの金よりも、情報というものは遥かに貴重なのだ。なんか意識高い人達がネットで言ってたからな。


 東に行けば魔王の城、北に行けば海、西に行けばエルフの森、南に行けば砂漠がある。エルフの森には不思議な泉の伝承がある、とのことだった。


「俺の火の剣で魔王を倒せると思うか?」


 絶対に無理だ、人間の作ったマジックアイテムなど中級以上の魔物には全く通用しない、と商人は言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る