第2話 そもそも人生がクソ

「もう彼氏なんていらん。」


「いやそのセリフ何回目だと思ってんのさ。」


中学からの付き合いのある友人との電話にて、


数週間に1回のペースでの近況報告電話は、


もはや私ののろけ話か、愚痴か、振られました報告かの三択。


「今回のもほんっっっっとにろくな奴じゃなかった。」


「の、割には依存体質だからそれに気づくのも割と遅めっていう。」


「……痛いとこ突いてくるな。」


毎回毎回、こうも男運がないのはなぜだろうか。


浮気、マザコン、シスコン、DVに、中二病。


「挙句の果てには『好きかどうかわからなくなった。』って、バカかっ?!」


「まぁ、それで身寄りのない女子を親と団結して追い出すのは頭おかしいねぇ。」


おかげさまで今日までの21年間、本気で死にかけた回数、


片手では収まらん。精神的にも、物理的にも、間接的にも。


殺されかけた回数も片手じゃ数えられん。あたおかじゃん。頭おかしい。


「そんなんで結婚できんの?」


「結婚なんて人生の墓場だよ。誰が好き好んで墓場に突っ込まなきゃいけないのさ。勘弁してくれ。」


「子供ほしいとか思わんの?」


「あの地獄みたいなつわりがまた襲い掛かってくるって思ったら別にいらないね。」


現在、私に子供はいない。でも子どもを堕ろした経験は一度だけある。


別に何も思わなかった訳じゃない。


あの時はこんな最低な自分なんて死んでしまえと思った。


「一人暮らしで仕事から帰ってきて、彼氏と電話という癒しが無くなった…」


「うわ、すごい静かに感じるやつじゃん。」


「現状、今この電話を切りたくないよあたしゃ。」


「勘弁してくれ、あしたも仕事だよこっちは。」


そう言いながらあくびをする友人にこれ以上起きてろなんて言えるはずもなく。


数分後には通話を終了した音が無情に部屋に響いた。

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