CHAPTER 2:絶望ノトウボウ



CHAPTER 2:絶望ノトウボウ


「いやぁ、おめでとう。今日から君は終末を終わらせる道具だよ。」

フードを被った謎の信者らしき人がそう話した。

周りは暗く、なぜか手足を台の上で拘束され、動けず、台の周りにはフードの信者達で囲まれていた。

といって、ここは何処の手術室か?だとしたら、病院?

自分はゆっくりこう尋ねた。

「ここはどこだ?後、そこのお前、何いってんだ?

その信者は歯を出すように少し笑って答えた。

「君は、僕たちが作った兵器、道具になったんだ。」

「お前ら、何勝手に人を道具呼ばわりしてんだよ。ブラックジョークか?」

「僕たちは嘘はつかない。全てイーサス様のご計画だ。体をよーく見なよ。」

「変わらねーだろ・・・は・・・?」

少し、頭を動かして体を見た。そこには体を抉られたのか大量の血が溢れており、体の心臓部に何故か小型装置やコードなどの機械が取り付けられ、そこから血塗れのひび割れの傷の線や血管が身体中に多く現れていた。

自分の顔にも、目元にひび割れ傷がある。

この光景に心の中が黒く濡れる気分になった。それは恐怖、絶望でできたナイフで心をえぐられる気分になるかのように。

「ああぁ・・・ああぁ・・・うわあああああああああああああ!」


悲鳴を叫ぶのも当然だ。此処も病院でもない、体も異常、恐怖感のあまり、自分は心を落ち着かせることができず、暴れてしまう。


「おい、放せよ!ここから解放しろ!!」

「落ち着いてよ。残念ながら、君の人生は終末とともに終わったの!」

一瞬、その言葉に息が止まった。

「どういう意味だ、それ。」

「10年前、2030年に、Mr,Eのご命令により、人類の日常は終末したんだよ。」

10年前が2030年?

「今、何年だよ。何年なんだよ!」

「今は2040年だよ。」


言葉が出ない。タイムスリップ? そんなSF超大作映画でもないのに? 信じられない疑問ばかりだ。


「君は信じられないかもしれないけど、本当に2040年なんだ。テロの時、君をコールドスリープして、その間、君の体をオモチャのブリキの兵隊に改造したんだ。

 そして、君が起きちゃった。ねぇ、すごいでしょ!面白いでしょ!これでわかった?」


何、言ってんだこいつ、こっちにとって、わかる話じゃねんだ。こいつやらかしたこと理解してんのかよ! 俺の日常をさらにゴミにしたのか!?

そう、深く考え始めるようになり、怒りと悲しみが涙と体が熱くなる。


「ふざけんな!自分たちの人生を何しやがった!テメェ、人の心をえぐって、何ともおもなかったのかよ、このクソ罪人どもが・・・。」


手の鎖を壊して、汚い言葉とごぶしをぶつけてまでも、怒りをぶつけようとした矢先、信者にバン!とまた手に鎖で強く拘束された。


「黙りなよ。大体、これがなかったとしても、神が与えた物事や一日をドブのようにゴミを捨てるかのように大事にしなかった君たちも罪人でしょ。そんな君たちを生かすなんて、結局、それを繰り返すだけじゃん。だから、君なんて生きる価値がないんだから、大人しく、脳を洗脳されて、僕たちの道具になれよ。ねぇ、哀れなゴミクズくん?」


俺に価値がない、ゴミクズ、その言葉がずっしり心に聞こえた、信者達が脳内を洗脳させる装置を使って、自分の脳と顔の目の前に、現れた。装置が太陽のような光を出す。

ウィーンと静かなカウントダウンが装置からゆっくりと流れ始めた。このまま、人生終わるのだろうか。ゴミクズ、幼稚、黙れ、キチガイ、生きる意味ない、裏切りやがって、間違っている、傷つけた、死んでくれ、言われてきた汚ねぇ言葉や批判などが流れていくこんなことで俺は死ぬのか?意味のなく死ぬのか?

ああ、俺の人生ゴミだった。そう思った瞬間、走馬灯とともに、あいつを思い出した。

違う!そう気づいた瞬間、ガラスを割るかのように、鎖を割った。


「え、なんで、うわっ!」

信者がどよめいた、それと同時に装置を破壊し、信者を殴り、部屋からでて、逃亡するかのように走る。

廊下の周りには白い目をして、肌の色が悪く変わった死体が置かれていた。

見るだけでも、黒く濡らされる気分になる。

走ると呼吸がひどくなって、早く彼女を探さなければ死ぬ、そう思った。自分もやられたなら、彼女もやられ苦しんでいるはずだと。

たとえ自分の人生がゴミカスだったとしても、彼女までも人生をゴミカスにして欲しくない。

そう焦り、彼女を探していると、患者姿をした彼女を見つけた。

「おい、大丈夫か生きてんなら、・・・!!」

彼女の体は青緑色の血管が体から浮かんでおり、苦しんでおり、悪夢を見ているような顔して、気絶していた。

「安心しろ、助けてやるから!」

今のうちに早く死ねぇと、そう思いながら、彼女背負い込み足を急がせる。

アカリは前の明るい姿とは正反対の姿をしていた。

息と感情を失い、顔には大きく傷がつけられており、体の心臓部分に同じ小型装置が取り付けられ、笑っておらず、虚無の姿をしていた。

彼女の体が冷たく感じ、自分でも、嘘だと思った。でも、この現実は間違ってなかった。

そこに信者達が現れた。

信者達は俺にこう伝える。

「無駄だよ。彼女は道具になったんだ。」

「は・・・!?」

「彼女はこれから、改造人間の部品になってもらうため、多くの毒の薬品を投与させ、今彼女には苦しんでもらっているんだ。あと、残り4ヶ月したら、彼女は死んで、僕らの道具になるんだもん〜ねぇ〜〜!」

「まぁ、実際、神からの罰だもんね。Mr,Eに選ばれなかった哀れなクズちゃん。あははははっ・・・・あははははははは!あははははは!」

「あはははは!」

「あははははははははは!!」


信者が不気味に笑い続ける。アカリの光を奪ったあいつが憎くなった、自分たちの人生をゴミクズに叩き込んだこの世界をもっと深く憎んだ。

なんで心を奪ったあいつらが何故笑っているんだ?人を殺して何面白がってんだ?なぜこの状況になった?なぜ、日常は消えたのか?

それを思うと悔しさや絶望が深まる。

そして、そこから生まれた悲しみと怒りが重なった時、体の傷や血管に異変が起こった。

そして・・・・。

「うっ・・・。」

突然激しい頭痛が起こり、体内にも異常な暑さが起こった。

あっ・・ああ・・・ぐあああああああああああああ!!!!!」

信者達が驚く。

「な、なんだありゃ、あんな簡単に変化するとか聞いてないぞ!!」

「おい、どうなってんだよ!」

「し、知るか・・・うわぁ!!!!!!」


バーンと自分の体から光が放った。


その後、体に異変があることに気づいた、急に青のラインがある銀白に変異した体の色に、手の指は大きくなり、体の色も変わり体の形も変わっていた。近くの飛び散ったガラスを見ると顔は大きく尖った目と、歯が鋭くなった牙になっていった。

そして、目の前にいる信者達は突然変異した自分の体に対し、恐怖に満ち溢れた顔に急に変わっていた。


信者達が怖がっていた。


「おい、誰が作ったんだよ。」

「知るかよ。俺、改造人間を作って来たから、大抵の怪物に関してはビビってないけど、こんな状態になるなんて聞いてもねぇよ! おい誰だよ、責任取れよ!」

「そうだよ!誰だよ!!」


信者らがビビり始めている。

その時、怪人とかした自分が、大きな手で信者達を捉えた。まるで、獲物を狙うかのように。


「おい、俺を食うなよ、食うなら、こ・・・・あっ・・・ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


責任転嫁し始めた一人の信者を内臓を抉って食べるように殺した。

そして、一人の信者がビビって、逃げ始めたが・・・、それも束の間。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


無意識のまま、抉り殺した。


「お・・・おい、まずいぞ、こいつ失敗作だ!早く殺せぇ!!」


信者達が銃を取り出し、もしく、もしくは銃そのもの怪物に変身し、無意識な怪物になった自分に立ち向かった。

だが、歯止めも立たなかった。


信者の悲痛を鳴らすかのように、心臓などの内臓、骨を抉り殺し、地獄に叩きつけるかのように、無意識に暴走してしまう。

そして、信者の血で染まった組織の内部を破壊し、気絶した彼女を連れて、無意識な怪人になったまま、内部を破壊して、脱出し、大きく飛び、無の地上へと落ちて、その怪人は気絶した。



数時間後


体が元の姿に戻り、自分は目を覚まし、無意識になっていた間何があったのか、自分の目で確かめた。

体を濡らした大量の血

自分は、無意識に初めて殺したのだった。

ありえない、あの俺が・・・。

呼吸が乱れ、頭が痛くなった。嘘だと信じたい、嘘だと思って、安堵して笑いたい、でも、本当だった。

「あ・・ああ・・・・うわあああああああああああ!!!」

これを叫ぶのも何回目なのだろうか。

さらに、数時間後、アカリを引きずりながら、建物がない、瓦礫の山しかない道を長く歩いて行った。

そして、徐々に体力を失い倒れた。

「ああ、このまま俺は地獄行きか・・・。」

様々な絶望によって生まれた無の感情でそう思った。

このまま死ぬのかと思うと怖くて仕方がない。

そして、彼女のことを思うと悲しくて仕方がない。

何も彼女のことを救えなかったからだ。

やはり、自分はゴミクズ人間だった。そう思いながら、絡めた感情から涙が出てきた。

「アカリ、ごめんな、ごめんなさい。自分はお前を救えなかった。俺はゴミだった。死んでも一緒の場所には行けないかもしれない。許してくれ、ごめんなさい・・・。」

そう言いながら、目が、ゆっくり閉じるように閉じた。

最後に、謎の男が見えた。




「お、おい、早く起きろ、起きろ、起きろいってんのがわからんのか?」

「は・・・はぁ・・・ここは?・・・地獄か?」

「ここは私の家だ。もう動けるなら出ていってくれ。」

「え?」

白衣を着た、ボサボサ頭の50代の男が姿を表した。

ここから、この男とともにとんでもない展開を迎えるのだった。






                             執筆:TK-1005






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