第3話 赤い日
第3話 赤い日 『五歳』
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「お父さん、お母さん……」
……俺は、どこまでも愚かで救いようのない存在だ。
パチ、パチ、
パチ、パチ……
顔が熱い。
視界が、真っ赤に染まっている。
家が、燃え上がっている。
どうして、どうして、こうなってしまったんだろうか。
「メレテくん……」
「やめておけ。今は、そっとしておいてやれ」
「でも……」
「他人にはどうにもならない、時間が解決するものもある。もっとも……」
俺は転生者だ。
きっとどうにかできたはずなんだ。
なのに、何もできなかった。
俺には才能が、力があった。
でも……
結局、俺は俺ってことか。
俺は、幸せな現実に溺れて何も見えていなかった。
俺がどういう存在で、ここがどういう世界なのか。
なにも理解できていなかった。
俺がそう望んだのだ。
俺がそう選択したのだ。
この世界の人々とは違う。
俺はどこまでも他人で……
俺がおぼれていた夢は、手に入れることのできない幻想でしかなかった。
ただ……暖かい幻想だった。
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ーー次話予告ーー
『第4話 仕事』
明日更新
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