蝶々のように男たちの間を飛び回り、食い物とする悪女。
同性愛を含んだ奇妙な三角関係。
若者同士のシェアハウスと青春。そして風変わりな家族関係。
どこを切り取っても異色中の異色。バレンタインの話として読むには余りにも重すぎる内容かもしれません。しかし、ここには人生の悲哀と青春の輝き、そして幸福の意味を考えさせる文学作品がありました。
成程、世間さまから見れば悪女は悪女なのかもしれない。些細な過ちから主人公たちの人生は滅茶苦茶になってしまったのかもしれません。それでも、その関係が実際にはどうであったか、人生が幸福であったかを決めるのは当人たちなのです。
セピア色の青春は失ってしまえば二度と取り戻せるものではありません。
しかし、だからこそそれは宝物であり、そこから芽生えた新たな息吹は残された人々を奮い立たせるに相応しい象徴だったのだと思います。
思い出はいつだって振り返るもの。
幸福とは現在あじわうもの。
これはきっと似て非なるものなんです。
苦さを含んだ青春小説をお探しであれば、是非!