迷帝?コレカラキメルノ=ジャー

ケーエス

プロローグ

 はい、みなさんこんにちは! 私、この歴史書の執筆を担当する者です。


 以後お見知りおきを。


 ところでみなさん、目の前に泉があるとして、そこに何かを落としたら女神が出てきて、

「あなたが落としたのは金の何かですか? 銀の何かですか?」

 と聞かれたとしましょう。


 そのときあなたはすぐにどちらを選ぶことができますか?

 悩むでしょう。え? 何を落としたのかによって変わる? もとの状態でくれって?


 ……。例えが悪かったようです。わかりました。変えます。


 例えばどんな本でも揃う図書館をあなたが訪れているとします。

 そこにはファンタジーやらミステリーやら恋愛ものなどいろんなジャンルの本棚が並んでいます。

 さあ今日はどの棚に行きましょう? あ、すでに読んでるシリーズの続きを読むのとかはナシですよ。今日は新作を読んでくださいね。


 決まりました?


 棚を決めたらそこから本の題名を見ていきましょう。面白そうなのがたくさんありますね。


『ハゲ―・テッターと地毛の意地』

『怪人二十ニキビ』

『ションベンで出会いを求めるのは間違っているだろうか?』


 残念ながらこの図書館一人一冊しか借りれないそうです。困りましたね。

 とりあえず上に挙げた三つから一冊決めてみましょう。


 決まりました?(そこのあなた、別の本を取ろうとしない!)


 悩むでしょう? 悩みませんか?

 たぶん新しいモノ、コトをなにか選ぼうとかするときって決断しようとしてもどっちもいいなーってなってしまいますとこれがやっかいでうんうんうなるだけで物凄く時間を消費する。その時間で一話ぐらい読めるじゃんてなる。

 一人だったらいいんですけど隣にとっても怖い先輩とか上司とか貴族がいて、

「はよ決めろや!」

 とか言われたりなんかするともうパニックになる。そうなりませんか?


 きっとこういう優柔不断な人間て身分関係なしにどこにでもどの時代でもたくさんいると思うんですよ。

 で、私がこれから書いていく物語っていうのは一国の皇帝の話です。

 それもただの帝国じゃない。世界の8割を支配している帝国の皇帝の話です。

 本人から頼まれて書いているので、あんまり大きな声では言えないんですけど、その方もそういう人間でして……。


 しかも即位後に反乱を各地で起こされてしまい、それらを鎮圧するために何度も決断を迫られることになってしまいます。

 一国のリーダーですから迅速な対応を求められるはずなんですが、こちとら優柔不断な新米皇帝です。大丈夫なんでしょうか?



 それでは、あらすじはここまでにしてまずは皇帝コレカラキメルノ=ジャーの人柄を見ていき、反乱の発生を書き記していくこととします。

果たして皇帝は見事この初の大仕事を切り抜けることができるのでしょうか?


 おっと、その前に羊皮紙の在庫を確認せねば……。






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