海月

北見夕夜

海月

 波にゆらゆら揺らめいて、今日も一人海に漂う。

 高いお空の太陽に、本気の本気で恋をした。ちょっぴりおバカなあたいは海月。


 風の吹くまま流される、そんなあたいを骨なしと、周りのみんなは笑うけど、骨がないのがあたいの自慢。自由奔放生きてくわ。


 今度の恋は今までと、まったく違う質のもの。

 ワカメにサンマ、フグにカワハギ今までの、恋はわずか三日で終わったけれど、あの太陽へのトキメキは、百年たっても変わらない。骨も、肉も、筋すらないあたいだけど、この想いだけはつらぬいてみせる。


 生まれて初めて波に逆らい、太陽めがけて泳いでく。そしてほら、今、海の外に手を伸ばすの!


 ・・・溶けた・・・。


 だってあたい、海月だもん。

 体はどんどん溶けていく。だけどあたいは後悔しない。あなたの側へ行けるのだから。骨がないのがあたいの自慢。骨も残さずあなたの側へ行けるのだから。


 ちょっぴりおバカなあたいは海月・・・。





 終わり

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海月 北見夕夜 @yu-yakitami

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