賢者とお姫様、暗殺者と面会する

『マスター敵の気配を感じます!』

「奇遇ですね。私もです」

 ここ最近ノアさんは喋り始めた聖剣と連携を合わせる為に目的地に行く間にモンスター討伐をしていた。

「でもいよいよノアさんが魔法使えるようになると俺いらない気がしてきますね」

『マスターの将来のお婿さんでしたっけ?心配は要りませんよ。マスターはどう頑張っても聖属性しか使えません。しっかり他の属性でサポートしてあげてください』

 聖剣に慰められる。実際俺は剣技が全然だし仕方ない。

「実際マギの属性付与は目を見張るものがあります。普通の人間の属性付与の何倍も強力です」

『それは気になりますね。次の戦闘で私に付与してくださいね?』

「わかったよ......」

 そんなことを話している間にコバルトの大群を全部切り終わっていたノアさんと聖剣。やはりコボルトぐらいじゃ相手にならないらしい。



 城に帰ってきた俺達はメイドさんに声をかけられる。

「ノア様マギ様、ラナという名前に聞き覚えはありますか?」

「いえ、俺はないですね」

「私もないです」

「そうですか....」

「どうかしたんですか?」

「そのラナという人物がノア様とマギ様に面会を求めておりまして.......」

 困った顔でメイドさんがそういう。しかし全く覚えがない。

「肩書きは?」

「はい。肩書きは勇者パーティーの一員だとか」

「じゃあますます知りませんね。俺のいた頃はそんな人いませんでした」

「マギ待ってください。もしかしてですが貴方の後釜の方なのでは?」

「確かにそれは考えられますが、それでは尋ねてきた理由がわかりません」

「勇者パーティーが嫌すぎて逃げてきたとか色々考えられますよ?」

「逃げるにしてもわざわざ帝国まで来ないでしょう」

「いえ、そこはマギの前例がありますからね。どこかから聞きつけてきたというパターンも」

 ノアさんはこの状況をおそらく楽しんでいる。俺にとっては嫌な過去だ。

「わかりました。会ってみましょう」

「マギならそう言ってくれると思っていましたよ」

 無理やり誘導したノアさんは飄々とそんなことをいう。こういうところだけはいつも勘弁してほしい....。



「初めまして、ラナといいます。以後お見知り置きを」

 ラナさんの第一印象は少し怖いだ。纏う雰囲気が軍人やそれに近いものに感じる。ノアさんもそれは感じたようで警戒していた。

「初めまして、俺はマギといいます。貴方のパーティーで以前賢者をしていたものです」

「初めまして、私はノアです。何か要件があっての面会でしょうから要件をお聞きしましょう」

「お話が早くて助かります。要件は聖女の暴走を止めたいということ、勇者の聖剣を奪いたいということです」

 ラナさんの方から出たのは全く予想していなかったことだった。だってあのティーナが暴走するわけないだろう?


————

皆様のおかげで星100、ブクマとハートが400を超えました。これもひとえに読んでくださる皆様のおかげです。ありがとうございます!

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