隠キャは何故か恋をしない

ルブブ

第1話

隠キャそれはクラスの中でも人と積極的に関わらない部類の人だ。その分自分の空間や時間を楽しく生きることができる。反対に陽キャはどうだ?人と積極的に関わり人と接することで楽しさを感じる俺には理解のできない人種だ。と言うのも俺は人と関わっていい思いをした事がない。中学3年の最後の体育祭俺はリレーのアンカーの2つ前というなんとも言えないプレッシャーのかかる立ち位置だった。結局俺のチームは最下位という結果だった。特段遅いわけではない。だが俺はその日走っている途中に熱中症で倒れてしまったからだ。その後チームのみんなに「ごめん」と言ったが上部では許してくれたが本音は許していない様だった。その後チームのみんなに話しかけても聞いてくれずいわゆるシカトをされてしまったからだ。その日から俺は人と関わらなくなった。

総じて言うと俺は隠キャ、人生負け組の一員だ。


「竜也くん、ねえ竜也くんてばー。話し合いにちゃんと参加してよー」

俺は今高校最初の授業で班の間で話し合いをしていた。高校に入りクラスや学年のメンバーはガラッと変わり同じ中学校の人はいなかった。いや1人いた。

それは今話しかけてきた夜空 涼 スズミンの愛称で通っているいわゆる陽キャ勢。人生勝ち組だ。中学の時の学年の中でも1、2を現すTOPアイドルだ。なんだかんだで小学校6年から同じ学校クラスで幼なじみと言って良いのか悪いのか微妙なラインだ。まぁどちらにせよ俺の様な隠キャ勢のかなう相手じゃあない。

「わ、分かった」

俺は慌てて答えた。おいおい初っ端から隠キャ感丸出しじゃねーか俺。

「でどーするんだよー今日中に決めねーと行けねーのによー」

1人のチャラそうな金髪の男子が口を開いた。高校に入学した直後から

女子の注目の的、かどうかは知らないが明らかに陽キャオーラを放っている。

名前は分からん。隠キャあるあるクラスメイトの名前を忘れるに当てはまる。

「和樹焦ったらダメダメじっくり考えないと」

と茶髪の女の子が言う。そうだった和樹だったこのチャラ男の名前。だがこの今喋った茶髪の女の子も涼に引けを取らない美しさを持っている。名は確か霞と言ったか。隠キャで人と関わりたくない俺でも少し見てしまうくらいだ。だが俺の恋愛対象というわけではない。まぁ誰が相手だろうと恋愛対象にはならないのだ。それは俺のタイプの子が2Dとかそういうのでもなくただ単に俺が関わりたくない、人と関わっているとろくな目に合わないと言う自分勝手な自論からだったりもする。

「じゃあ終わるぞー今日中に班でまとめて紙に書いて出しておけよー」

先生が授業を終え昼食の時間になり食堂に皆んなで行くものもいれば弁当を広げるものもいる。ちなみに俺は食堂での学食だ。なんといってもこの学校の学食は

美味しい、安い、多いの3大要素を両立いや3立しているわけでさして金持ちでもない俺にとっては天国だった。俺は日替わり定食を頼みいつもの2人席を1人で使おうとしていた。

「やぁ竜也くんここに座るねー」

と言って突然、涼が向かいの席に座ろうとしてきたのだ。あの陽キャ人生勝ち組の夜空 涼が。おかしい幻覚だ。最近寝れてなかったからだろうか俺は目を擦った。

「ねえ聞いてる?座ってもいい?」

と涼が顔を近づけて言ったことで目が覚めた。目の前に座ろうとしていたのは紛れもない夜空 涼だったからだ。

「あ、あぁいいぞ」

俺は動揺しつつもokをして言った。

「他の席じゃなくてどうしてここなんだ」

そうどう考えてもおかしいのだ。他の席は空いてる喋る相手などそれこそ無数にいるだろう。涼は手を顎に置き少し考えて間を置いて言った。

「イヤー他の人と喋るのが少し面倒くさくって。それに中学校以来竜也くんと話してなかったなーっと思って」

どうやら涼レベルだと逆に喋るのが面倒くさくなることもあるのだろう。

それにしても隠キャの俺にどんな風の吹き回しで?。涼はコーンスープを飲みながら幸せそうな顔をしている。その顔を見て俺でさえ少しドキッしてしまった。

だがそれと共に俺の高校人生は終わりに導かれそうになっていた。冷静になって考えればこんな状況男なら誰でも望むだろう。しかも学校のアイドルともなれば一気に話が変わる。イケメンが一緒なら咎めようがない。だが一緒にいるのはイケメンでもなければ陽キャですらない。周りからの視線が痛い。ハッキリ言って居心地が最大限に悪い。周りの男にとっては「なんで隠キャが?」「死ね」と言いたくなる様な状況だったからである。俺はさっさと昼食を食べ席をたとうとした。その時だった。

「待ってLINE交換しよう!」

と言ってきた。嘘だろ。ら、LIN●だと?学校のアイドルと。その瞬間一気に周りの視線が強くなる。俺は足を止めて後ろを向いた。涼がスマホを取り出してQRコードを出してきた。

「あぁわかった」

このまま帰るわけにもいかず俺はスマホを取り出して手続きをした。

もうそれは凄い視線でそそくさと退散しその後なるべく人に見られない様に下校をした。

「はぁーー」

俺は深いため息をつきソファーに座ってLINEを開く。

「どうしたのお兄ちゃん」

妹がアイスを咥えながら聞いた。

「なんでもーー」

俺はめんどくさそうに返答した。その時だった。

「取ったりーー」

と妹がソファーの後ろからスマホを奪って画面を見た。

「ふむふむ涼。これお兄ちゃんの彼女?」

なんてこと言うんだ。俺と涼が?そんなことは天変地異が起こってもありえない。俺はめんどくさそうに答えた。

「な訳ねーだろ」

「そっかそりゃそうか。隠キャのお兄ちゃんに彼女なんているはずないよねー」

妹は画面を見ながら言った

「コラ返せ」

「はぁーい」

ふう。なんて1日だ。まぁこんな日もう一生来ない、よな。

俺は風呂に入った後すぐにベットに寝てもう一度LINEを開く。メッセージはない。俺はそのまま眠りについた。


「ピロンっ」

「土曜日空いてる?」

その時俺はメールが来たことに気がついていなかった。








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